アプリを通してユーザーと接点を持てるプッシュ通知の取り組みを前向きに検討する企業が増えています。
しかし、プッシュ通知の配信方法を間違えるとユーザー離れにつながることがあるため注意して運用することが必要です。例えば店舗アプリの場合、セールやクーポンの通知を頻繁に送りすぎると、かえってユーザーが離れる可能性があります。
そこで今回は、プッシュ通知の種類や配信方法、実施効果を解説します。効果を最大限に高めるコツも紹介するため、ポイントを踏まえて効果的に運用しましょう。
アプリのプッシュ通知とは
スマホの普及により、いつでもユーザーと接点を持てるようになりました。そのひとつの施策として有効なのが、アプリから直接ユーザーの端末に情報を届けられる『プッシュ通知』です。配信されたメッセージは基本、開封されるまで、ユーザーのスマホのロック画面上に表示されています。
プッシュ通知の最大のメリットは、企業が届けたい情報をピンポイントで届けられることにあります。
店舗アプリの場合、アプリをダウンロードした利用客に、「アプリの最新情報」や「お得なクーポンの更新情報」などが届きます。届いたプッシュ通知を選択すると、アプリ内の指定したページが表示される形です。仮に利用客が店舗アプリを立ち上げていない場合でも、伝えたい情報を短くしっかり伝えることが可能となります。
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総務省によると情報通信機器の世帯保有率は、9割を超えていることが明らかになりました。また、利用時間のおよそ8割はアプリにあてられるため、ユーザーとの繋がりを強化してくれる手法として今注目を集めています。ユーザーとの接点だけでなく、ブランディング施策の改善や売上向上にも貢献してくれるはずです。
プッシュ通知は2種類に分類される
プッシュ通知はユーザー端末のインターネット状況で届けられる情報が変わります。目的に応じて運用しないと、期待した効果が出ないこともあるので注意が必要です。
リモート通知
インターネットを通して情報を届けられる通知方法です。スマホがインターネットに未接続の場合は情報の配信に遅れが出ることがありますが、リモート通知はネットに接続されている状態なので即時にメッセージを届けられます。
店頭では、集客力を向上させるために「急なお知らせ」や「時間に制限がある情報」を配信したいこともあるはずです。アプリを通して店頭から頻繁に情報を届けたい場合は、好きな時間に配信できるリモート通知が適しています。
ローカル通知
インターネットに接続されていなくてもスマホの機能で情報を届けられる通知方法です。たとえば、タスクやアラーム機能、スケジュール管理アプリなどが該当します。定期的に届けたい情報がある場合や、ユーザーの行動に応じたメッセージを送りたいときに最適です。
プッシュ通知の配信方法
情報を受け取るという点では同じですが、プッシュ通信には複数の配信方法があるため目的に応じて使用することが大切です。
主な配信方法には、次のようなものが挙げられます。
1.セグメントプッシュ
2.ジオプッシュ
3.ビーコンプッシュ
4.オートプッシュ
それぞれの特徴を正しく理解して、適切な配信方法で情報を届けましょう。
セグメントプッシュ
性別や住居地域、年齢など属性データで情報を届けたいユーザーを分類してプッシュ通知を送れる配信方法です。ユーザーに応じて配信する情報をパーソナライズ化できるため、有益な情報を届けられるメリットがあります。
ジオプッシュ
指定した場所の近くにいるユーザーにメッセージを送れる配信方法です。たとえば、店頭にユーザーの来店を促したい場合、ジオプッシュ通知をおこなえば店頭へ誘導できます。
ユーザーを店頭に誘導できるため、店舗アプリでよく利用されています。店舗セールや限定キャンペーンの情報を知らせれば、来店を後押しできるのもジオプッシュ通知の特徴です。ただし、ジオプッシュ通知を配信できるのはユーザーが位置情報をオンにしている場合にのみ情報を届けられます。
ビーコンプッシュ
店内にユーザーが入ると、自動的に認識してスマホアプリへと必要な情報を配信できる方法です。ビーコンは情報発信機に搭載されており、低コストかつ省エネルギーで通信できます。ジオプッシュ通知の機能とよく似ているので混同されがちですが、情報を届けられるユーザー対象が異なります。
ビーコンプッシュは、ジオプッシュより近い距離にいるユーザーに情報を送信することが可能です。クーポンや特典を配布すれば、店頭への誘導に加えユーザーの購買意欲を刺激できるメリットがあります。
オートプッシュ
事前に設定した条件に応じて自動的に情報が届けられる配信方法です。アプリをインストールしたユーザーへと定期的に情報を送ることができます。
アプリをインストールしてから使用していない期間が長いユーザーに対して通知をおこなえば、再訪を促すことも可能です。1度離れたユーザーに対して再度興味を惹くのは難しいため、顧客離れのリスクを回避できます。
プッシュ通知で期待できる3つの効果
アプリの数が溢れているからこそ、ユーザーに直接アプローチできるプッシュ通知に注目が集まっています。正しく実施できればダウンロード数を上げられる可能性は高まりますが、成果を得られるまでに手間や時間がかかります。手間や時間をかけて取り組むべき施策なのか、悩む運営者も多いです。
期待できる効果には、次のようなものが挙げられます。
1.ユーザー属性に応じて情報発信できる
2.高い開封率で内容を見てもらえる
3.顧客ロイヤリティを高められる
ユーザー属性に応じて情報発信できる
ユーザー属性や購買情報、アプリの利用頻度などさまざまなデータと組み合わせれば、パーソナライズ配信が可能です。たとえば、ユーザー属性には年齢や性別、住居地域、家族構成などが該当します。それぞれのユーザー属性に応じた有益な情報を配信できれば、来店への誘導を図れます。
アプリの利用頻度のデータを活かせば、しばらく利用していない顧客へクーポンや特売情報を配布すれば、再訪を促せるはずです。ピンポイントな情報配信できるのは、運用する大きな利点になります。
高い開封率で内容を見てもらえる
プッシュ通知で情報を配信すると、スマホのログイン画面に表示されます。ログイン画面は必ず目にする場所であるため、ユーザーが通知に気づいてくれる可能性が高いです。自然と開封率も高くなるので、情報を読んでもらえる機会を増やせます。
またメルマガよりも、プッシュ通知のほうが開封率が高いです。情報を届ける手段をプッシュ通知に変えれば、高い確率でユーザーに情報を見てもらえます。メルマガの開封率が低下しているならプッシュ通知がおすすめです。
顧客ロイヤリティを高められる
プッシュ通知で企業やブランドの情報を届けてユーザーに接触する回数を増やせれば、顧客ロイヤリティを高められます。顧客ロイヤリティとは、企業やブランドに対する顧客の信頼度や満足度を示す割合のことです。
人は何度も見たり読んだりすると、その対象に対して好感度が上がるといわれています。いわゆる単純接触効果と呼ばれる心理効果のことです。プッシュ通知で接触する回数を増やせば、企業やブランドに対して愛着が増します。その結果、行動に移すユーザーが多くなり、購買につながる確率を高められます。
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プッシュ通知を運用する3つのポイント
多くの効果が期待できるプッシュ通知ですが、利用時に注意すべきポイントがいくつかあります。場合によっては顧客離れを引き起こすおそれもあるので、事前に確認しておくことが大切です。主なポイントには、次のようなものが挙げられます。
1.アンインストールされる可能性がある
2.期待した効果が得られない場合がある
3.端末OSによって開封率に差が出る
アンインストールされる可能性がある
ユーザーのなかには、頻繁にメッセージが届くことに嫌悪感を抱く方も少なくありません。配信時間や頻度を考慮してプッシュ通知を配信しないと企業やブランドに対して嫌なイメージを抱き、最終的にアプリをアンインストールされる可能性があります。
アプリをアンインストールされるとユーザーとの接点が失われるため、顧客離れにつながることも多いです。アプリは簡単にアンインストールできるので、不快に感じたら削除されてしまいます。また、削除まで至らなくてもミュートにされてしまい、スマホ上でアプリの存在を消されることもあります。
期待した効果が得られない場合がある
プッシュ通知は開封率が高い便利な機能ですが、内容や配信する時間帯によっては期待した効果が得られない場合があります。たとえば、配信する時間帯ですが、ユーザーのライフスタイルによってスマホを見る時間に違いが出ることも多いです。社会人であれば、通勤時を狙って情報を送れば見てもらえる可能性があります。
逆に、仕事をする時間帯に情報を配信しても期待した開封率は見込めないことも少なくありません。届けたいユーザー層のライフスタイルを考慮し、適切な時間帯に情報を配信することが大切です。また、プッシュ通知の内容がユーザーに刺さらなければ、二度と読んでもらえない可能性もあります。ユーザー層に応じて興味を惹く内容にまとめることが必要です。
端末OSにより開封率に差が出る
iPhoneとAndroidなど、利用端末のOSによって、プッシュ通知の初期設定が異なります。実はAndroidはデフォルト設定がプッシュ通知オンであるため、アプリをインストールしてもらえればメッセージを送れます。
iPhoneはデフォルト設定がプッシュ通知オフなので、受け取るかどうかはユーザーの判断に委ねられているのが現状です。そのため「Androidのほうが、iPhoneよりも開封率が高い」といわれています。端末OSで開封率に差が生まれることを考慮したうえで、プッシュ通知の施策をおこないましょう。
プッシュ通知の効果を高める4つのコツ
プッシュ通知で単に情報を配信しても期待した効果を得られません。効果的に運用するためには、いくつかコツを抑えることが大切です。プッシュ通知の効果を高めるコツは、次のようなものがあります。
1.ユーザーの興味を惹く内容にする
2.プッシュ通知する時間帯を考慮する
3.適切な配信頻度で通知をおこなう
4.ユーザーを選定して反応率を高める
ユーザーの興味を惹く内容にする
プッシュ通知をうまく活用できれば、顧客ロイヤリティが向上したり、店舗へ誘導できたりなど、さまざまなメリットを得られます。ただし、プッシュ通知で情報を届けられても質の悪い内容では逆にアプリから遠ざける結果になることも多いです。
ユーザーの興味を惹く内容にまとめて、ユーザーに見て良かったと感じてもらう必要があります。このような体験が積み重なれば、プッシュ通知が届くたびに見てもらえる可能性も高いです。届けるユーザー層を意識して内容をまとめましょう。
プッシュ通知する時間帯を考慮する
先ほども少し触れましたが、プッシュ通知を届ける時間帯には十分に考慮しましょう。プッシュ通知は24時間いつでも送れますが、深夜や早朝に通知しても閲覧されないどころか歓迎されません。
逆に、睡眠を邪魔されて嫌悪感を抱かれる可能性もあります。よほどのことがない限り、深夜や早朝にプッシュ通知を送るのは避けましょう。一般的に開封率が高い時間帯は、18時〜23時頃だといわれています。情報を届けたいユーザー層が、どのように1日を過ごすのか具体的にイメージし、適切な時間帯を選んでプッシュ通知を配信しましょう。
適切な配信頻度で通知をおこなう
プッシュ通知は配信頻度が多すぎるとしつこいと感じてミュート設定にされたりアンインストールされたりする可能性もあります。
ユーザー離れを防ぐには、適切な発信頻度を分析して情報を配信することが大切です。一般的には、週に1回程度の配信頻度が適切といわれています。ただ、アプリによって効果的な配信頻度は変わるのでユーザーに応じて適切な頻度を分析しましょう。
ユーザーを選定して反応率を高める
ユーザーは自分に興味がないプッシュ通知には反応しないため、単に情報を送るだけになります。基本的なこととして、通知を受け取るすべてのユーザーが同じ情報を必要としているとは限りません。また、自分に興味がない情報ばかり配信されると読むのも面倒くさく感じるユーザーもいます。
反応率を高めたいなら、属性や興味関心事などを把握してユーザーをセグメント化し、そのユーザーに応じた情報を届けることが大切です。ユーザーとの信頼関係も構築しやすくなるので、プッシュ通知を送るたびに行動を起こしてもらえます。
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まとめ
開封率が高いプッシュ通知は、有効なマーケティング施策です。プッシュ通知を活用できれば、顧客ロイヤリティの向上、店頭への来店誘導などが期待できます。集客や収益を効率よく増やしたいなら、アプリのプッシュ通知の運用を検討してみてはいかがでしょうか。