アプリを安定して運営するには、長く使ってくれるユーザーがとても大切です。
そのためには、リテンション率(継続率)をしっかり分析し、どうすれば長く使ってもらえるか考える必要があります。
今回は、リテンション率の基本について分かりやすく説明します。
リテンション率とは?
リテンション率とは、アプリを使い続けているユーザーがどれだけいるのかを示す指標です。
アプリの存続にかかわる重要な要素のひとつであり、リテンション率を重要度達成指標として設定し、重点的に対策している企業は少なくありません。
一般的にリテンション率は、Google Analyticsを使って確認できます。アプリをリリースする際は、アクセス解析ができる環境を整えておきましょう。
リテンション率を分析する理由
スマートフォンアプリは競合が多く、ユーザーがすぐに他のアプリに移ってしまうため、リテンション率(継続率)が下がりやすい傾向があります。
そのため、新しいユーザーを獲得しても多くがすぐに離れてしまい、コストや労力が無駄になる恐れも。
逆にリテンション率が高ければ、既存ユーザーが長く使い続けてくれるため、安定した収益や成長が期待できます。
リテンション率を定期的に分析することで、ユーザー離れの兆候を早く発見でき、改善策も立てやすくなります。また、施策の効果を測る指標としても役立ちます。
つまり、リテンション率の分析は、アプリの価値やユーザー満足度を把握し、収益やマーケティングの成功につなげるために欠かせません
リテンション率の低下原因
リテンション率が低下する原因は、主に以下の3つとなります。
・UXが合っていない
・通知が多すぎる
・アプリの魅力が伝わっていない
低下の原因を的確に把握することができれば、アプリ開発や運用・アップデートの時点で対策しやすくなるはずです。
UI/UXが合っていない
リテンション率が低下する原因として、UIやUXに原因があるパターンが考えられます。
UIとは「ユーザーインターフェース」のことで、ユーザーとアプリとの接点(インターフェース)のことです。
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」「ユーザー体験」のことで、アプリにおいては、ユーザーがアプリを使ったときに経験できることをさします。
実際の原因は多岐に渡るでしょう。UI/UXによるリテンション率の低下が疑われるときは、何が問題なのかをよく考える必要があります。
▼UI・UXに原因がある例
・デザインの色づかいがわかりにくい
・文字が読みづらい
・コンテンツの明らかな不備
・必要な機能や情報にたどり着けない
・操作性が悪い
・サポート品質が低い
なおUI/UXに関する評価はアプリで提供するサービスでも異なる点に注意が必要です。
以前開発したアプリで高評価を得たデザインでも、内容が異なる別ジャンルのアプリでは違う評価を下される可能性があります。
通知が多すぎる
アプリの通知が多すぎる場合も、リテンション率の低下につながることがあります。
通知は、アプリを使ってもらう上で大切な要素ですが、多ければ多いほどよいものではありません。
ユーザーにとって好ましくないタイミングでの通知やメールマガジンは、離脱を招く原因です。
プッシュ通知やメールマガジンが頻繁に発生しているようなら、タイミングや配信量などを見直しましょう。
内容も一目で必要な情報が分かるようにしておくと、より親切です。通知を受け取るユーザーの負担にならないようご注意ください。

アプリの魅力が伝わっていない
アプリの魅力がユーザーに伝わっていないことがリテンション率の低下原因となることもあります。どんなに優れたアプリだとしても、その魅力を伝えるには、ユーザーを引き付けるようなデザインやアピールが求められます。
ユーザーに魅力をアピールするには、ユーザーニーズをきちんと把握しておかなくてはなりません。
これは開発の段階から意識する必要があります。配信開始時点から、ユーザーに分かりやすい形で伝える工夫も大切です。
また、そもそも開発側で「アプリの魅力」と考えている部分が、アプリ内でうまく表現できていない可能性もあります。実際に使ってみたユーザーの声も参考にしつつ、状況を分析しましょう。
リテンション率をアップさせる方法
リテンション率を向上する方法は、大きく4つあります。基本は、ユーザーに使い続けてもらうための工夫です。
アプリのアップデートや施策を検討する際は、以下の要素を意識しながら検討してみてはいかがでしょうか。
・ユーザーに成功体験を与える
・UI/UXを見直す
・プッシュ通知を工夫する
・A/Bテストをおこなう
ユーザーに成功体験を与える
リテンション率を上げるには、ユーザーがアプリで簡単に「できた!」という成功体験を得られることが大切です。
ユーザーは目的を持ってアプリを使うので、使い方が難しかったり手間が多いと途中でやめてしまいます。
そのため、分かりやすいチュートリアルや、条件をクリアしたときにポイントがもらえるなど、達成感を感じやすい仕組みを用意しましょう。
ただし、やりすぎると逆に使いにくくなるので、内容や量には注意が必要です。
UI/UXを見直す
UI/UXを見直すことが、リテンション率の向上につながるケースもあります。UXの問題を測る際に使われるのが、UXハニカムです。
「UXは以下の6つの要素にて構成されている」と考える概念で、UXの問題点を洗い出すために有効となります。それぞれの内容とチェックポイントを確認していきましょう。
・Useful(役に立つ)
・Usable(使いやすい)
・Findable(探しやすい)
・Credible(信頼できる)
・Accessible(アクセスしやすい)
・Desirable(好ましい)
・Useful(役に立つ)
Usefulでは、ユーザーがアプリを使って課題や目的を達成できるかをチェックします。
アプリの機能がダウンロードするユーザーの目的や課題を達成できているか、ユーザーのニーズとずれていないかを確認しましょう。
ここに問題がある場合は、機能の見直しやユーザーのニーズを満たす要素をプラスしなくてはなりません。
・Usable(使いやすい)
Usableでは、快適な操作性やストレスを感じない動作環境を維持できているか確認しましょう。
ボタンの位置やタップエリアの大きさなどをチェックしてください。
また、コンテンツの表示に時間がかかる場合も改善が必要です。スマートフォンごとに異なる動作環境にも、きちんと対応できるようにしましょう。
・Findable(探しやすい)
Findableでは、ユーザーが目的の情報や必要とする情報にたどり着けるかをチェックします。
どんなによいコンテンツがあっても、ユーザーの目に触れることがなければ意味がありません。
「ユーザビリティテスト」、「ヒューリスティック分析」、「ナビゲーションやアプリ内検索機能の見直し・追加の要素」などの観点で確認しましょう。
・Credible(信頼できる)
Credibleでは、コンテンツ内の情報が正確かつ過不足がないかをチェックします。
アプリは機能性だけでなく内部のコンテンツに対する信頼性も大切です。
情報により、今までとは異なる内容を新たに記載し直す必要もあるでしょう。普段から定期的に情報の変化がないかも確認します。
・Accessible(アクセスしやすい)
Accessibleでは、誰でも使いやすいアプリかどうかを確認します。
目や耳が不自由な方や高齢者、小さな子どもでも使いやすいように、音声読み上げや振動、分かりやすいボタンなどの工夫が大切です。
使用者を限定するような機能は、結果的にユーザーの離脱を招く傾向にあります。アプリ開発やアップデート時は、できるだけ多くの人が使いやすいようにしましょう。
ただし、アプリの内容によっては対応が異なる場合もあります。
・Desirable(好ましい)
Desirableは、ユーザーの興味を引き、アプリのダウンロードや継続利用につながるデザインやブランディングのことです。
どんなに機能が良くても、見た目が地味だとユーザーは離れてしまいます。リテンション率を上げるには、魅力的なデザインが大切。
アプリ本体だけでなく、ストアの紹介文や画像・動画もチェックし、「このアプリで何ができるか」「使いやすいか」を分かりやすく伝えましょう。
プッシュ通知を工夫する
プッシュ通知を工夫することでも、リテンション率を向上できる可能性があります。
過剰なプッシュ通知はアプリからの離脱を招く原因ですが、適切な内容ならむしろリテンション率情報に役立ちます。
アプリの存在を思い出させたり、定期的に起動する習慣を促したりするなど、通知をうまく活用しましょう。
ユーザーごとに通知する時間帯やメッセージを調節できると、より効果的です。
アプリユーザーに多い属性や傾向をよく分析し、適切なタイミングでアピールできるようにしましょう。

A/Bテストをおこなう
リテンション率を高めるために、A/Bテストが有効となる場合があります。
リテンション率向上のための改善を行う際、複数のアイディアが浮かぶことも珍しくありません。このような場合に効果的なのが、A/Bテストです。
アイディアに関わるプッシュ通知や広告の内容を出し分けて、継続的に結果を確認・分析します。よい反応が出ている方を採用して改善を進めていけば、施策の失敗を防止できるでしょう。
アプリストアの中には、ストア画面でA/Bテストができる機能を搭載したものもあります。アプリストアの機能を活用するのもよい方法です。どの施策を採用するか迷ったときは、A/Bテストの結果を参考にしましょう。
まとめ
リテンション率はアプリの価値を決める重要な要素です。低下すれば、アプリによって生まれる収益の低下をも招きかねません。
普段から定期的に分析し、リテンション率の向上を心がけることで、安定したアプリ運営を実現しやすくなるでしょう。
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