近年は多くのアプリがインターネット上に溢れており、すぐにアプリストアで上位表示させるのが難しい時代です。アプリが上位表示しないとユーザーに存在を認知してもらえないので、ダウンロード数に伸び悩むことも少なくありません。
たとえば店舗アプリの場合、店舗集客・情報管理を目的として導入されるのですが、そもそも顧客にダウンロードしてもらえないと効果を見込むことはできません。
そんな悩みを抱える運営者におすすめしたいのが、アプリを上位表示させるための「ASO対策」です。今回は、ASOの概要や実施する重要性、向上させる施策を解説します。SEO対策との違いも紹介するため、適切な方法でASO施策をおこないましょう。
ASOとは
ASOとは、アプリストア検索結果での自社アプリの順位を上昇させることです。「App Store Optimization」の略であり、「アプリストア最適化」とも呼ばれます。
アプリストアの検索結果は、あらゆる要因により決まるため、運営者が操作できるものではありません。ただし、タイトル名や紹介文にアプリ名を入れたり画像を活用したりすることで評価が高まります。その結果、アプリストアの表示順位が上がれば、ダウンロード数の増加が期待できます。
特に公開して間もないアプリをストア検索の上位に表示させるのは簡単ではありません。アプリストア最適化をしっかりおこない、上位表示を目指すことが求められます。
ASOとSEOの違いは?
ASOと似た言葉にSEOがあります。
SEO(Search Engine Optimization)は、検索エンジンにおける順位上昇を狙う施策のことです。検索順位を上げることで、サイトのユーザー流入数を最大化、集客効率やブランド認知度の向上などを目的に実施されています。
一方、ASO(App Store Optimization)は、アプリストアにおける順位上昇を狙う施策のことです。表示順位を上げることでアプリの認知度向上や、ダウンロード数の増加を狙います。
ASOの実施で得られる3つの効果
ASOで得られる効果には、次のようなものがあります。
- ユーザーの自然流入が期待できる
- 無駄なプロモーションを軽減できる
ユーザーの自然流入が期待できる
ASOの実施でアプリ検索順位が上がれば、自社アプリの露出が増えるため、ユーザーの自然流入が期待できるメリットがあります。たとえば、App Storeでは毎週6億を超えるユーザーがアクセスしていると報告されています。しかも、新しいアプリを探すときは、アプリストアで検索するユーザーが多く、約7割の人が直接アプリをダウンロードしているのが現状です。
ASOを実施してアプリストア検索からの評価を高めれば、多くのユーザーの目に触れる機会を増やせます。アプリがユーザーの目に留まり、興味を持ってもらえればダウンロードしてもらえる可能性も高まります。
無駄なプロモーションを軽減できる
アプリへの流入数を増やすための施策として、Web広告を実施する企業も多いです。クリック数に応じて課金される仕組みを採用するWeb広告も多いため、クリック直後に離脱されると広告費が無駄になるケースもあります。
ASO対策をしっかり実施すれば、広告から流入したユーザーがダウンロードしてくれる可能性も高まります。ASO対策の効果が最大化されれば、限られた予算でもダウンロード数を増やすことが可能なため、結果的には広告費削減にも貢献できます。
ASOを向上させるための6つの施策
ASOをおこなうには手間や時間がかかります。そのためまずは、基本となる次の6つの施策を押さえましょう。
- キーワード選定
- タイトル
- 紹介文
- スクショ・動画の活用
- レビュー対策
- アイコン
キーワード選定
ASOを実施するにあたってまず重要になるのが、キーワード選定です。
アプリ検索では決定する際の指標としてキーワードを重要視しているため、ASO対策をおこなううえで適切なキーワードを選び、設定することは重要なポイントになります。
アプリで提供しているサービスの特徴もふまえた上で、検索ボリュームも確認しながら、上位表示が見込めるキーワードを探しましょう。
タイトル
キーワード選定で上位表示が見込めるキーワードを見つけたら、そのキーワードをタイトルに盛り込みましょう。
ただしいくら順位を上げたいからといって、キーワードを羅列しただけではかえって効果につながらない場合もあります。サービスの内容もふまえ、ユーザーにとって分かりやすく自然な表記を心掛けましょう。
アプリストアではタイトルの文字数に制限が設けられています。また、ユーザーの利用端末によって文字が表示される数が異なるので、重要なキーワードを前方に含めることが望ましいです。
紹介文
アプリの特徴や魅力などを簡潔にまとめてユーザーにアピールできるのが紹介文です。ユーザーにわかりやすく伝えられるように紹介文をまとめるのはもちろんのこと、キーワードを適宜取り入れてASO効果を高めましょう。
紹介文もアプリストアによっては、文字制限が設けられていることもあるので注意しましょう。
スクショ・動画の活用
視覚的な情報を伝えたいなら、アプリ使用中画面のスクリーンショットの活用がおすすめです。一瞬で実際の情報を伝えられるため、ユーザーに使用時をイメージしてもらいやすく興味を惹けます。
また、アプリによっては、テキスト情報だけでは魅力が十分に伝わらないこともあるはずです。このような場合は、アプリの操作方法や使用シーンなどをわかりやすくまとめた動画を活用しましょう。
レビュー対策
アプリストアには、実際に利用したユーザーの声がまとめられたレビューがあります。評価が低いアプリはユーザーがダウンロードを控える傾向にあるため、ダウンロード数が増えにくくなります。そのためしっかりレビュー対策をおこなうことが大切です。
レビューは良い評価ばかりではありませんが、低評価にも丁寧に対応することで信頼を得られます。否定的な意見にも誠意を持って対応することが重要です。
場合によってはアプリストア外のレビューサイトやSNSなどの対策も視野に入れます。
アイコン
検索結果に表示されるアイコンは、ユーザーの興味を惹けるかどうか決まる重要な要素です。アイコンによっては、数多くあるアプリに埋もれてしまうのでユーザーに見つけてもらえない可能性があります。
アイコンの画像を選ぶときは独自性のあるものを選び、ほかのアプリとの差別化を図ることが大切です。あわせてどんな情報を伝えたいか、どんな印象を持ってほしいか、などをふまえてデザインも工夫しましょう。
ASO対策の実施前に押さえておきたいこと
ASO対策を実施するにあたり、押さえておきたい主な事項をご紹介します。
- ユーザー動線を理解する
- アプリの特徴をつかむ
- 適切なKPIを設定する
ユーザー動線を理解する
ASO対策で重要な要素のひとつに、ユーザーがアプリを利用するまでの動線を理解することがあります。ユーザーがアプリを利用するまで、検索結果からアプリを見つけて詳細を閲覧し、興味がある場合はダウンロードに至るといった工程を踏むのが一般的です。
ただし、アプリのダウンロードは手軽におこなえるため、アプリの詳細を閲覧せずにいきなりダウンロードするユーザーもいます。どちらの動線を好むユーザーであっても、アプリのダウンロードまで誘導できるように対策をおこなうことが大切です。
アプリの特徴をつかむ
いきなりASO対策に取り組んでもうまくいかないこともあります。効率よく効果を出すには、まずアプリの特徴をしっかり把握することが大切です。また企業目線だけでなく、ユーザー目線でどのような魅力があるのが分析してみましょう。
ユーザーの立場になってアプリの特徴を分析することで、推しポイントも明確になります。この工程を踏むことでタイトル名や紹介文も書きやすくなるので、アプリの魅力を確認する時間を作りましょう。
適切なKPIを設定する
ASO対策に取り組むときは、適切なKPIを設定しましょう。KPI(Key Performance Indicator)は重要業績評価指標のことで、目標を達成するまでの達成度合いを計測するための指標のことです。目指すべき目標を見える化できるので、ASO対策の進捗状況を定量的に把握することができます。
特に、チームでASO対策をおこなう場合は、KPIを設定することで向かうべき方向が定まるため、チーム一丸となって取り組めます。ただし、間違ったKPIを設定すると無理なリソースを割いてしまうおそれもあります。KPIに設定する場合は、現実的かつ具体的な数値に落とし込むことが大切です。
ASOと組み合わせたいダウンロード促進方法6選
ASO対策と並行して他の施策を実施すれば、ダウンロードの促進につながることも多いです。ASO対策と組み合わせて実施するべきコンテンツ施策には、次のようなものがあります。
- 自社サイト
- SNS
- メールマガジン
- レビューサイトへの掲載
- 自社の紙メディアでの告知
- 実店舗
自社サイト
アプリの紹介文はアプリストアによって文字数制限が設けられています。少ない文字数の中で十分に魅力を伝えられないことも多いです。自社サイトであれば、文字数の制限がありません。好きなだけアプリの説明や操作方法、魅力を詳細に伝えられます。
アプリの紹介文だけでは不十分だと感じるなら、自社サイトの説明を充実させましょう。
SNS
TwitterやInstagramなどSNSを活用して、アプリの魅力を伝えましょう。SNSは拡散力が高いため、ユーザーの目に留まればバズる可能性もあります。話題になるアプリであれば、一気にダウンロード数を伸ばせるので情報を伝える手段として最適です。
各SNSによって特性や利用者層が異なるので、ターゲット層と相性の良いSNSで発信しましょう。
メールマガジン
メールマガジンは、顧客との関係構築を図れるコミュニケーションツールとして活用されています。メールを通してアプリの情報を発信できるので、企業はユーザーと接点を持つことが可能です。
メールマガジンに登録するユーザーは自社商品に対して高い興味があることが多いため、情報発信することでダウンロードにつながる可能性が高いです。定期発信と特別配信を組み合わせて情報を届けましょう。
レビューサイトへの掲載
多くのユーザーはレビューを見てから、実際にダウンロードするか決めることも多いです。高評価のレビューがレビューサイトに掲載されれば、ダウンロードしてくれる可能性があります。
近年は、さまざまなレビューサイトがありますが、ターゲットに近い利用者が多いサイトを選びましょう。
自社の紙メディアでの告知
パンフレットやカタログ、名刺など自社で紙メディアを持つ企業もいるはずです。これらの紙媒体にアプリがダウンロードできるQRコードが掲載できないか確認してみましょう。
相手の目に留まれば、ダウンロードしてもらえる可能性があります。
実店舗
実店舗は、お客様と対面でコミュニケーションが取れる場所です。店頭でパンフレットやカタログを配るときにQRコードがあることを伝えたり、割引の条件にしたりすればダウンロード数は上がります。
スタッフがお客様にアプリの魅力も伝えられるため、興味を持ってもらえる可能性が高いです。
まとめ
近年は数多くのアプリで溢れており、その膨大なアプリの中から自社製品を見つけてもらい、ダウンロードに至るのは並大抵のことではありません。特に、公開されたばかりのアプリは認知度も低いので、多くのユーザーの目に留まるまで時間がかかります。
このような課題に有効なのが、ASO対策です。正しい方法でASO対策をおこなえば、ユーザーの自然流入が期待できたり、長期的な関係を築けるユーザーを獲得できたりなどの効果が期待できます。アプリのダウンロード数の伸び悩みを解決したいなら、ASO対策を実施して行き詰まった状況を打開しましょう。
関連ページ:店舗アプリのアプリメンバーズ詳細ページ