スマートフォンではさまざまなアプリが利用できますが、スマホアプリは「ネイティブアプリ」と「ウェブアプリ」という2つの種類に分けられます。
どちらも同じようにスマートフォンで使えますが、ネイティブアプリはインストールをする必要があります。
ウェブアプリは、Webのブラウザで動くのでインストールは不要です。
こう見ると、ウェブアプリの方が簡単と思うかもしれませんが、今主流になっているのはネイティブアプリです。
なぜ、インストールという手間がかかるネイティブアプリが主流になっているのか、その理由はネイティブアプリとウェブアプリの違いにあります。
また、メリット・デメリットを解説していくので、今後の参考にしてみてください。
ネイティブアプリとは?
ネイティブアプリは、App Store(iOS)やGoogle Play(Android)など「アプリケーションストア」と呼ばれるOSを経由してインストールするアプリです。
有名なアプリで例を挙げると、「X(旧Twitter)」や「Instagram」などがネイティブアプリになります。
初めて使う場合はインストールが必要なのでネットワークを接続しなければいけませんが、インストール後はオフラインでも使えるアプリもあるのが特徴です。
ネイティブアプリはiOSとAndroidそれぞれに対応できるように開発されているので、各OS機能をアプリに活用できます。
また、ダイレクトにデバイスで起動させるので、短時間で起動できて使いやすいのもネイティブアプリの魅力です。
ネイティブアプリとウェブアプリにはどんな違いがある?
どちらも「アプリ」ですし、スマートフォンで使えるという共通点があります。
しかし、リリースやスマートフォンで使えるようになるまでの工程に違いがあります。
ではどのような違いがあるのか見ていきましょう。
プラットフォームの審査
ネイティブアプリをリリースするには、プラットフォームとなるアプリケーションストアの審査があります。
一方、ウェブアプリはプラットフォームを経由しないので審査はありません。
明確なガイドラインもないので基本設計や開発における縛りが少ないことから、多様なコンテンツを提供することが可能です。
また、ネイティブアプリは1つの端末でしかアカウントを持てませんが、ウェブアプリは複数の端末でアカウントを共有できるという違いもあります。
動作環境
ネイティブアプリは、一度インストールをすればスマートフォンの端末で動作します。
しかし、ウェブアプリはインターネットブラウザで動作します。
インターネットブラウザはネットワーク環境が必要になるので、ウェブアプリはオフラインでは動作しません。
また、処理速度のネットワーク環境で変わるため、電波の悪いところでは動作が不安定だったり、まったく動作しなかったりすることもあります。
一方、スマートフォンの端末で動作するネイティブアプリは、ネットワークにつながっていなくても動作します。(※)
ネットワーク環境の影響も受けないので、電波が悪くても処理速度は安定しているというのも大きな違いと言えるでしょう。
※アプリによってはネットワーク環境が必要になることがあります。
ユーザーの獲得方法
ウェブアプリはインターネットブラウザで動作するので、SEO対策をしておけばYahoo!やGoogleなどの検索エンジンからユーザーを獲得できます。
一方、ネイティブアプリは検索エンジンにヒットしても、ユーザーはアプリケーションストアを経由しなければなりません。
つまり、インストールまでの手間がかかるので、検索エンジンからのユーザー獲得は難しいといわれています。
基本的には、ネット広告や宣伝からインストールを促すのがウェブアプリのユーザー獲得方法になるため、集客単価が高くなります。
インストールの必要性
ネイティブアプリとウェブアプリの一番の違いは、インストールの必要性があるかないかです。
ネイティブアプリはスマートフォン端末にインストールしないと使えませんが、ウェブアプリはインストール不要です。
インストール不要というのがウェブアプリの魅力ですが、そのかわり使うときには常にネットワーク環境が必要なので、アプリの種類によってはネイティブアプリより使い勝手が悪くなるのがデメリットです。
ユーザーへのアプローチ方法
ネイティブアプリはOSの機能を活用できるので、プッシュ通知を使えます。
そのため、インストールしているユーザーに対して、プッシュ通知を使って企業側から「セール情報」や「新商品入荷情報」などの情報を発信できます。
ウェブアプリはOS機能を使えないため、企業側からアプローチできないというのも違いとなります。
ネイティブアプリのメリット
ネイティブアプリのメリットは、以下の5つが挙げられます。
1.デバイス機能を利用できる
2.ユーザーの継続的利用が期待できる
3.収益化が可能
4.通信環境に左右されない
5.ユーザー導線が整っている
では、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
デバイス機能を利用できる
ネイティブアプリでは、デバイスに搭載されている機能を利用できるメリットがあります。
もともと、OS専用で使える仕様になっているので、カメラやプッシュ通知、位置情報などの機能と連携することが可能です。
デバイス機能を利用できれば、店舗やオフィスまで誘導するのも簡単になりますし、カメラを利用すれば製品情報の表示をすることもできます。
機能をうまく使いこなせば、マーケティングにも集客にも役立てられるのは大きなメリットです。
ユーザーの継続的利用が期待できる
ネイティブアプリは、ユーザーの継続的利用が期待できるのもメリットです。
インストールさえ完了すれば、使いたい場合はスマホの画面にあるアイコンをタップするだけで起動できます。
また、直接端末にインストールするので、起動や動作処理のスピードが早く、ユーザーにストレスを感じさせることもありません。
ユーザーは、起動までに手間がかかったり、動作スピードが遅かったりするアプリはストレスを感じるので利用しない傾向が強いといわれています。
ネイティブアプリは起動も動作もさくさくと進むので、継続的に利用されやすいのです。
また、ネイティブアプリはプッシュ通知も使えるので、企業側から情報を発信すればアプリを開いてもらうことも可能です。
お得な情報や役立つ情報を定期的に発信していれば、ユーザーの満足度も上がり、アンインストールされにくくなります。
収益化が可能
ネイティブアプリでは、アプリ内課金を設定することができるので収益化が可能です。
ユーザーを獲得するには、メイン機能は無料で使えるようにしておく必要があります。
しかし、魅力的な機能であれば、グレードアップのために課金をするユーザーは少なくありません。
アプリ内課金がメインの収益でないとしても、収益化をすることでアプリをブラッシュアップしたり、違うアプリを開発したりできるのでユーザーの満足度を高められます。
もちろん、アプリの種類によっては課金をメイン収益にすることもできるので、さまざまなビジネスモデルに対応してくれるのもメリットと言えるでしょう。
通信環境に左右されない
ネイティブアプリは、スマートフォンの端末にインストールされているので通信環境に左右されません。
機能によってはネットワーク環境が必要になることもありますが、オフラインで使える機能もたくさんあるので、どこでも利用できます。
たとえば、地下鉄のような電波が通じないところでも、飛行機などオフラインにする必要があるところでも画像の閲覧やコンテンツを利用が可能です。
そのため、オフラインにしなければならないシチュエーションでも、ユーザーが手持ち無沙汰になることはないので、アプリへの好感度がアップするというメリットもあります。
ユーザー導線が整っている
ネイティブアプリのメリットは、ユーザー導線が整っていることです。
ネイティブアプリは、Google PlayやApp Storeなど最大手といわれるアプリケーションストアで配布されます。
これらのアプリケーションストアは審査が必要なので、審査に通らなかった場合はリリースできません。
そのかわり、審査に通れば一番アクセスが多いアプリケーションストアでリリースできるので、ユーザー導線を確保できます。
あくまでも「導線」だけですが、認知施策をしっかり行っておけばキーワード検索でもヒットしやすくなるので認知度を高めることも可能です。
関連ページ:ASOとは?アプリを上位表示させる重要性やSEO対策との違いを紹介
ネイティブアプリのデメリット
ネイティブアプリには、以下の3つのデメリットが挙げられます。
1.新規ユーザーは獲得しづらい
2.開発コストがかかる
3.審査が厳しい
とはいえ、デメリットを把握しておけば、事前に対策をすることで回避できるのでチェックしておきましょう。
新規ユーザーは獲得しづらい
ネイティブアプリは、ユーザー導線は整っているものの新規ユーザーを獲得しづらいというデメリットがあります。
新規ユーザーを獲得するには、広告・宣伝からの経由もしくはアプリケーションストア内の検索になります。
汎用性の高いアプリであれば、宣伝費用以上のダウンロード数が見込めますが、店舗アプリや会員証アプリなどは費用対効果が得られないかもしれません。
また、Web検索にヒットしても、アプリケーションストアにアクセスしてダウンロードしなければならない、というのも獲得が難しい理由です。
しかし、魅力的なアプリならダウンロードを手間に感じることはありません。
事前に自社サイトでリリースの告知する、宣伝の施策をしっかり打つなど対策をしておけばダウンロード数を伸ばすことも可能です。
開発コストがかかる
企業によっては、開発コストがかかるというのもデメリットになるでしょう。
開発費用は、基本設計や実装機能、アプリの種類などで異なりますが、ゼロから開発する場合は以下のような相場になっています。
アプリの種類 | 開発費用の相場 |
フリーペーパー系 | 50~100万円 |
ツール系 | 50~300万円 |
学習アプリ系 | 50~300万円 |
ショッピング系 | 100~300万円 |
ゲーム系 | 300~500万円 |
メッセージアプリ系 | 100~500万円 |
位置情報系 | 500~1,000万円 |
相場には幅がありますが、オリジナルで機能をカスタマイズするとなると、かなり高額な費用がかかるため、改修するだけでも大変かもしれません。
ただし、最近は機能やデザインの開発が完了していて、欲しい機能や好きなデザインを組み合わせてアプリを作成できるツールもあります。
こういったツールであれば、大幅に開発コストを下げられるので、費用面で引っかかっている場合はアプリ作成ツールを利用するとよいでしょう。
関連ページ:アプリ開発にはどれだけの時間がかかるもの?開発順序と時間について
審査が厳しい
ネイティブアプリは、審査が厳しいというのもデメリットです。
前述したように、ネイティブアプリをリリースするにはApp StoreやGoogle Playの審査に合格しなければなりません。
どちらも最大手のアプリケーションストアなので、厳しい審査基準が設けられています。
開発するアプリが、最初から規約に則って作成されていれば問題ありませんが、規約を知らずに開発した場合、審査が通らない可能性もあるので注意が必要です。
とは言え、実績のあるアプリの制作会社なら、アプリケーションストアの規約を遵守して開発するので、制作会社選びを間違えなければ審査には通ります。
また、審査が厳しいのはデメリットかもしれませんが、厳しいからこそユーザーからの信頼度が高いのです。
「Google Playのアプリだから大丈夫」という安心感があればインストールしてもらいやすくなるので、審査が厳しくても得られるメリットの方が大きいといえます。
まとめ
2010年のスマートフォン比率は4%程度でしたが、2022年の調査では94%と約10年で飛躍的に増加しています。
スマートフォンユーザーは今後も増加すると考えられていることから、スマホでの利便性が高いネイティブアプリが注目されています。
ネイティブアプリは開発費が高い、新規ユーザーが獲得しづらいなどのデメリットがあるものの、利便性で考えるとユーザーからの需要も高くなっていくでしょう。
開発費用に関しては、アプリ作成ツールを利用すればコストも削減できるので、新たにアプリを開発するのであれば、ウェブアプリよりもネイティブアプリを検討してみることをおすすめします。
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