DAUとは? WAU・MAUとの違いから活用方法まで解説

アプリを運用するうえで、「ダウンロード数は伸びているのに利用が伸びない」という悩みはつきものです。

そこで確認したいのが、1日あたりのアクティブユーザー数を示す DAU です。自社アプリの平均DAUを把握しておくことで、ユーザーの離脱状況を把握し、品質を向上する手がかりを獲得できます。

本記事では、DAUの意味や重要な理由、向上させるためのテクニックをご紹介します。

DAU(Daily Active User / デイリーアクティブユーザー)とは、アプリケーションやWEBサイト内における、1日あたりに利用しているユーザー数を示す指標のことです。たとえば自社アプリの場合、DAUを知ることで「1日に何人のユーザーが自社アプリを起動して、利用しているか」を推測できます。

アプリのダウンロード数だけでは、ユーザーの満足度や利用実態は把握できません。DAUで1日あたりの平均ユーザー数を割り出せば、自社アプリがどの程度の頻度で利用されているのかが判断できます。

DAUと混同されやすい語句に、WAU(Weekly Active User / ウィークアクティブユーザー)とMAU(Monthly Active User / マンスリーアクティブユーザー)という2つがあります。これらは下記の通り、計測する期間が異なります。

指標意味
DAU1日あたりのアクティブユーザー数を指す
WAU1週間あたりのアクティブユーザー数を指す
MAU1か月あたりのアクティブユーザー数を指す

たとえば、SNSやニュースアプリなど、毎日利用されることを前提としている場合、DAUが重視されます。週に数回利用するような、ラジオや動画配信などはWAU。銀行口座アプリのように毎日起動する必要がなく、月1回の頻度で入金や明細チェックを目的に利用するものは、MAUを指標として用いるケースが多く見られます。

実際の現場では、アプリ運用の手法や戦略によって、確認すべき指標が異なります。自社の戦略に合わせて、適切な指標をチェックしましょう。

DAUが重要視される理由はさまざまなです。ここでは、代表的なものを2つご紹介します。

アプリのダウンロード数や登録者数が一時的に増えただけでは、どれだけのユーザーが実際に利用しているかが分かりません。DAUを長期的に見ていくと、アプリの成長率を判断できます。

DAUが増加傾向にあるなら、サービスに満足しているほど既存ユーザーが多かったり、新規ユーザーが順調に獲得できたりすることを指します。一方、減少や停滞傾向にあるなら、成長を促す施策を投じたり、アプリの機能やサービスを改善したりする必要があるでしょう。

新たな機能のリリースやキャンペーンなど特定の施策を実施した際、どの程度の効果があったかを測定できるのも特徴です。施策の実施前後でどのようにDAUが変化したかを比較すれば、その効果を定量的に判断できます。

DAUが上昇していれば、ユーザーにとって施策が有効であることを示しています。停滞・もしくは下降しているなら、ユーザーアンケートや行動ログ分析などを通して原因を特定したうえで、具体的な改善策を立てられるでしょう。

DAU率とは、サービス登録者数に対して、1日あたりのアクティブユーザー数がどれだけの割合を占めるかを示す指標です。

DAUが「ある特定の日に、どれだけのアクティブユーザーがいたか」という絶対数を表しているのに対し、DAU率は登録者数という母数に対する割合で示されます。サービスの健全性や、ユーザーの定着度合いをより深く評価するのに役立ちます。

DAU率は、計測期間内にサービスを利用したユーザーを、サービスの登録者数で割り、100をかけると求められます。たとえば、100万人が登録しているサービスで、1日あたりのアクティブユーザーが10万人だったとします。すると、10万人÷100万人×100となり、10%がDAU率です。

アプリの性質や種類によって異なりますが、一般的な目安は10~20%とされています。もし、10%にも満たないようであれば、ユーザーの満足度が低い、もしくは利用するメリットを感じていないと考えられます。早急に改善策を講じなくてはなりません。

DAUを増やすためには、何らかの施策を講じる必要があります。ここでは、具体的な対策方法を4つ紹介しましょう。

アクティブユーザーを増やすためには、ユーザーの声を聴くことが非常に重要です。

データを分析するだけでは、彼らがアプリにどのような機能を求めているのかを判断できません。不満や要望に耳を傾けたうえで、迅速に対応すれば「自分の意見が反映された」と感じ、満足度も高まります。結果として、既存ユーザーの定着率の向上、ならびに新規ユーザーの獲得にもつながるでしょう。

ユーザーからの意見を集めるためには、以下のような方法があります。

  • アプリ内でフィードバック機能を実装する
  • アプリストアのレビューを確認する
  • メールでアンケートを実施する
  • XやInstagramといったSNS上でアプリに関する意見を集める

一つの方法にこだわると意見が偏る可能性があるため、これらの方法を複合的に実施するのが効果的です。収集した声をもとに改善を加え、ユーザーが満足できるアプリを目指しましょう。

DAUを高めるうえで、コンテンツの定期的な更新はとても重要です。ユーザーがアプリを開くのは、新しい体験や情報を期待しているからです。もし、コンテンツがいつも同じで、新たな体験が得られない場合は再訪が必要ないと判断され、離脱を招きます。

特にニュース、SNS、天気、株価などの情報は、鮮度が重要です。コンテンツがリアルタイムで更新されることが、DAUに影響を与えます。もし情報が古いままになっている場合は、ユーザーがアプリにアクセスする価値を見いだせなくなります。

また、コンテンツはただ更新するだけになり、質を求めるのも重要です。ユーザーのニーズを的確に判断したうえで、質の高いコンテンツを定期的に配信することが、DAUを高めることへつながります。

プッシュ通知とは、インストールされたアプリの最新情報などを端末上にポップ表示する機能のことです。

アプリを閉じているときでも端末上に通知されることから、アプリ起動を促す施策として利用されています。たとえば「お気に入りの商品が値下げされています」「ログインボーナスを受け取ろう」といった通知によって、ユーザーをアプリに誘導できます。

再訪を促すためには、ユーザーがメリットになる情報を送ることが重要です。使い方を誤ると、かえって再訪を妨げてしまうため、通知内容や頻度には十分に注意しましょう。

関連ページ:アプリのプッシュ通知とは?主な種類や配信方法、効果を高めるコツを徹底解説

SNSを利用して、アプリの最新情報を配信することは、アクセスを増やすうえで非常に有効な戦略です。SNSは、個人が手軽に情報を共有できるのが特徴です。情報が魅力的であれば、ユーザーによって拡散され、認知度の向上や新規ユーザーの獲得につながります。

また、長期間情報が更新されていないアプリは、ユーザーに不安を与える可能性があります。「新しい機能はもう追加されないのか?」「アプリが終了してしまうのではないか?」といった疑念を抱かせ、長期的な利用をためらったり、離脱を招いたりすることも。

最新情報が定期的に配信されていると、ユーザーはアプリが活発に開発されていると感じ、期待感や安心感が向上します。結果として、長期的な利用を促す効果が期待できるでしょう。

DAUをうまく活用するためには、注意点がいくつか存在します。ここでは、代表的なものを4つご紹介しましょう。

DAUを正確に計測するには、自社内で共通のルールを定め、一貫した方法で測定することが非常に重要です。計測方法にズレがあると、収集したデータも不正確になり、適切な分析や判断が難しくなってしまいます。

必要に応じて、専用の計測ツールを導入するのも有効です。一定の条件に基づいてDAUを自動で計測・蓄積してくれるため、より正確かつ効率的に利用状況を把握できます。主な計測ツールには、以下のようなものがあります。

ツール名特徴
Google Analytics for Firebase・Googleが提供し、世界中にユーザーがいる
・DAU、WAU、MAUを計測できる
・ユーザーの維持率を分析できる
App Ape・自社アプリだけでなく、競合や市場全体のDAUを計測できる
・ユーザーの属性の分析が可能
AppsFlyer・どの経路からユーザーが流入したかのデータを収集可能
・経路別に効果測定ができる

分析ツールを選ぶ際は、導入目的を明確にしたうえで、必要な機能を備えたものを選ぶのが重要です。また、使用方法を自社内で統一し、数値にブレが出ないように心がけましょう。

キャンペーンや広告などの施策を実施すると、DAUが急増することがあります。

たとえば、とあるアプリがダウンロードキャンペーンを実施し、20万件の新規インストールを獲得したとします。DAUは一時的に跳ね上がりますが、彼らが翌日以降も定着するとは限りません。

DAUは「ユーザーがアプリをその日に開いたか」を示すだけで、利用の積極性を判断することは困難です。そのため、継続率や滞在時間など他の指標とあわせて継続的に観測し、本当にアプリが成長しているかを判断する必要があります。

一時的な数値の高騰に惑わされず、獲得したユーザーがどのくらい継続利用し、課金や広告視聴など行動に至るかを観察することが、アプリの成長に不可欠です。

DAUで得られるデータは、アプリを利用する1日あたりのユーザー数です。月間、または週間に数回の利用を想定しているアプリでは、適切なデータを得られません。

たとえば、不動産や銀行などのアプリは、1日に何度もアクセスするわけではなく、利用回数も限られています。こうしたアプリの場合は、DAUではなく、WAUやMAUで計測した方が適切なデータが得られるでしょう。

エンゲージメントとは、ユーザーがアプリをどれだけ利用し、アプリとの関係性を深めているかを示す指標のことです。DAUを利用しただけでは、ユーザーがどのくらいの時間サービスを利用したのか、どんな機能を使ったのか、といった情報は判断できません。

たとえば、DAUが高いのにエンゲージメントの質はよくないパターンは、以下のような状況が考えられます。

  • ログインボーナスをもらうだけにアプリを開いている
  • 決められた機能だけしか使っていない
  • 利用時間がきわめて短い

上記のようなパターンは、ユーザーとアプリとの結びつきが浅く、すぐに離脱してしまう可能性があります。エンゲージメントの深さを見極めるためには、滞在時間や主要機能の利用率など他の指針と組み合わせたうえで判断しましょう。

DAUは、自社のサービスがどのくらい利用されているかを知るための指標です。もし低迷している場合は、アクティブユーザーを増やすための施策を講じなければなりません。ユーザーの声を基にした機能改善や質の高いコンテンツ更新はもちろん、プッシュ通知・SNS配信などで再訪を促進しましょう。

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