インターネットを使ったマーケティングにはさまざまな手法がありますが、その1つに「O2Oマーケティング」というものがあります。
O2OとはOnline to Offlineの略語で、文字通りオンラインからオフライン(実店舗など)への集客を行うマーケティングです。
ショッピングや問合せなどオンライン上で完結できるようになっている今、オンラインから実店舗に顧客を誘導するのは難しいと思うかもしれません。
しかし、チェックイン系のO2Oアプリを使えば、チラシやポイントカードなどよりも効率よく集客できる可能性があるのです。
ここでは、チェックイン系のO2Oアプリの導入事例やメリット、活用法などを紹介するので導入を検討されている方は参考にしてみてください。
チェックイン系のO2Oアプリとは?
チェックイン系のO2Oアプリとは、来店時にアプリを起動することでポイントやクーポンが獲得できるアプリです。
O2Oアプリを使わなくても、クーポンサイトや広告を使えば集客できると思うかもしれません。
しかし、今やクーポンサイトやネット広告は爆発的に増えているため、ユーザーからすると必要なときに手軽に使えない情報は不要になっています。
膨大な情報の中から必要な情報を探す、というのではなく、「いつでも手軽に欲しいクーポンやポイントがもらえるツール」への需要が高まっているのです。
O2Oアプリであれば、それにアクセスするだけでクーポンが獲得できたり来店時にポイントがもらえたりするので、「オンラインからオフライン(実店舗)へ」という動線ができます。
その結果、来店率や集客率のアップ、さらに売上アップにもつながるのがチェックイン系のO2Oアプリなのです。
O2Oアプリの事例
オンラインショッピング市場が全盛期の今、O2Oアプリを導入しても集客につながらないのではと思う方もいるかもしれません。
しかし、大手企業ではスタンダードなマーケティング方法になっており、参入する企業も増加傾向にあります。
ではどのような企業が導入しているのか、ここでは5つの事例を紹介します。
ユニクロ
ファストファッションブランドのユニクロでは、クーポン型O2Oアプリを導入しています。
クーポン配布によりお得感や特別感を演出できるのも、クーポン型O2Oアプリの魅力です。
また、ユニクロではアプリをみせると会員価格で購入できたり、デジタルチラシを配信したりすることでオフラインへの動線をしっかり確保しています。
アプリ1つで、新作のチェックやセール情報、クーポン獲得などの特典が得られることで、他のファストファッションへの顧客流出抑止にもつなげています。
ニトリ
ニトリでは、ショールーミングO2Oアプリを導入しています。
従来のショールーミングは店頭よりも低価格で購入できるメリットがありますが、企業側からするとこの手法は売上ダウンになってしまいます。
しかし、ニトリではあえてショールーミングを取り入れました。
ニトリの場合は、実店舗で気に入った商品のバーコードを読み取り、オンラインから購入できるようにする手法です。ショールーミングO2Oアプリで実店舗への誘導を行ないながら、オンライン購入によって「レジに並ぶ」「大きい荷物を持って帰る」などのハードルを下げることで売上増に成功しています。
ヤマダ電機
ヤマダ電機では、ヤマダデジタルアプリ というオリジナルアプリをリリースしています。
このアプリで店頭の電子プライスにタッチをすると商品の在庫情報や口コミが確認できたり、アプリ限定のクーポンやキャンペーンが利用できたりするなどのサービスを搭載することで来店を促しています。
また、デジタル会員証や購入履歴、電子保証書もアプリにまとめられているので、その利便性の高さから「インストールする」というハードルもクリアしています。
ダイソー
ダイソーでは、SNSを活用したO2Oマーケティングを行っています。
ダイソーが活用しているのはLINEで、LINEの友達登録をしてくれたユーザーに対し新商品情報を提供しています。
「クーポンなどの特典がなければ来店につながらないのでは」と思うかもしれません。
しかし、ダイソーでは毎月約800アイテムもの新商品 を開発しているので、ヘビーユーザーでも商品をチェックするのはかなりの労力を使います。
LINEから商品情報を発信すれば、ユーザーの利便性が高まり、さらに商品への興味を惹きつけることができるのです。
少し特殊な事例ですが、業態によっては割引などの特典をつけずO2Oマーケティングで来店・売上アップをすることも可能であるという一例になっています。
ガスト
ファストファミリーレストランとして人気のガストでは、O2Oアプリでクーポンを発行することにより集客に成功しています。
外食時には、ネットでお得なクーポンを探すユーザーが多い中、O2Oアプリを導入することですぐに使えるクーポンを提供し、店舗への誘導を行っています。
また、今いる場所から近いガストの検索や限定メニューを紹介するなど、ユーザーが利用しやすい機能を搭載する工夫を行っているのも成功理由の1つです。
導入初期の2015年には累計300万ダウンロードを記録し、今でも愛用されています。
O2Oアプリを導入するメリット
O2Oアプリは、自社開発をするにしても開発サービスを利用するにしてもコストがかかります。
そのため、導入をためらってしまう企業もあるかもしれませんが、コストをかけるだけのメリットがあるのでチェックしておきましょう。
即効性のある効果が実感できる
O2Oアプリの一番のメリットは、即効性のある効果が実感できることです。
たとえば、クーポンの有効期限を設定すれば、ユーザーは有効期限内に利用しようとするので来店率がアップします。
有効期限が1週間であれば、1週間でO2Oマーケティングの効果を実感できるのです。
マーケティング対策のほとんどは、効果が出るまでにある程度の期間を要します。
しかし、O2Oアプリであれば対策の結果をすぐに分析できるので、「クーポンの集客率が悪ければセールのお知らせ」というように、柔軟に対策を変えていけるのもメリットと言えるでしょう。
新規顧客を獲得できる
O2Oアプリは、新規顧客の獲得にも役立ってくれます。
実店舗だけで新規顧客を獲得しようとしても、屋外広告やスタッフの声がけ、対象エリアへのポスティングなどの方法しかありません。
しかし、O2OアプリのWeb広告を出せば、サービスや商品に興味を持ってくれたユーザーからのアプローチが期待できます。
また、アプリをインストールしてもらえれば、新商品入荷やセール情報などの告知ができるので来店につながり、新規顧客を狙いやすくなります。
マーケティングの効果を分析できる
O2Oアプリでは、マーケティングの効果を簡単に分析できるメリットがあります。
たとえば、クーポンをアプリで発行した場合、オンラインクーポンの利用数をすぐに調べることが可能です。
クーポン発行による施策が効果的だったのか、それとも効果がなかったのかを分析することで、施策を変えるべきなのか否かという判断も正確に測定できます。
すぐに対策の効果を把握することで、より効果の高いマーケティング対策を実践できるのです。
O2Oアプリのデメリット
O2Oアプリには、残念ながらデメリットもあります。
しかし、事前にデメリットが分かっていれば、それに対する施策を準備できることもあるのでしっかり把握しておきましょう。
リピーター育成が難しい
O2Oアプリは新規顧客獲得には向いているアプリですが、リピーター育成が難しいというデメリットがあります。
O2Oアプリのスタンダードな活用法である「クーポン配布」は、配布したときは集客率がアップするものの、それだけで継続的に来店してもらうのは難しいのが実情です。
しかし、多少手間がかかっても「2回目クーポン」や「来店ポイント付与」など仕組みを作っておけば、リピーターを育成できる可能性は高くなります。
客単価は上がらない
O2Oアプリでは、客単価が上がらないというのもデメリットです。
O2Oアプリでは新規顧客や集客率アップの効果は期待できるものの、客単価に関しては別の施策が必要になります。
特に、「クーポン配布」の施策しか考えていない場合は、一時的な来店しか見込めないので注意してください。
客単価を上げるには、「ポイントカード」や購入価格による会員のランク付けなどの機能を搭載するのがベストです。
これらの機能がオプションの場合、余分なコストがかかってしまいますが、ファンを増やすだけでなく売上に役立つので検討してみてください。
競合と比較される
オンラインによるマーケティング対策では、競合と比較されることがあるのもデメリットといえるでしょう。
O2Oマーケティングは手軽に他店と比較できるため、逆に顧客が競合店に流れて行ってしまう可能性もゼロではありません。
しかし、自社独自のポイント制度や会員ランク制度を導入すれば競合への流出も防げるので、ぜひプラスαの付加価値を付ける対策を実践しましょう。
O2Oアプリの活用法
O2Oアプリを導入するとしても、どのようにマーケティング対策に活かせばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
すでにクーポン配布を行っている場合、いまさらO2Oアプリでやらなくても良いと思うかもしれません。
しかし、O2Oアプリならではの施策があるので、活用法を4つ紹介します。
クーポン配布
O2Oアプリの活用法の中でも、もっともポピュラーなのが「クーポン配布」です。
クーポンの利用期間を限定すれば来店率も上がり、集客も容易になります。
しかし、O2Oアプリのクーポン配布にはさまざまな戦略を組み込めます。
たとえば、「学生限定」「今月お誕生日の方限定」などターゲットを絞り込んだり、「平日限定」「13:00までの来店限定」というように来店日や時間帯を絞り込んだりできるので、利用条件によって顧客単価アップを狙うことも可能になるのです。
紙のクーポンでは印刷の手間やコストがかかりますが、O2Oアプリならデザインも内容も自由に変えられるので、各店舗のシチュエーションに合わせたクーポン発行で集客率や売上のブラッシュアップ効果が期待できます。
関連ページ:クーポンで効果的に集客。リピートしたくなる内容やタイミングは?
イベントのプッシュ通知
O2Oアプリでは、イベントのプッシュ通知を活用するのもおすすめです。
プッシュ通知とは、店舗からの情報や案内をユーザーのスマートフォンにダイレクトに表示できる「お知らせ機能」です。
プッシュ通知はユーザーが通知をタップするだけでアプリを開けるので、メルマガなどの通知よりも開封率が高いといいます。
そのため、セールや新サービス、新商品入荷などイベントのお知らせを見てくれる可能性も高くなります。
また、一斉送信だけではなくエリアや学生、年代などターゲットを絞って送信したり、開封数を管理したりできるので、マーケティング対策の効率化にも活用できるのがポイントです。
関連ページ:アプリのプッシュ通知とは?主な種類や配信方法、効果を高めるコツを徹底解説
SNSとの連動
O2OアプリはSNSとの連動ができるので、SNSから実店舗へ誘導するという活用方法があります。
アプリは使うときにしかチェックしない人も多いですが、SNSは隙間時間に利用する人が多いです。
Instagramで自社の商品やサービスを紹介しているのであれば、画像を見たユーザーの来店が見込めます。
キャンペーンやセールなどの情報をTwitterにアップしておけば、お得な情報を見たユーザーからの来店が見込めます。
SNSは拡散力も高いので、O2Oアプリと連動してうまく活用していきましょう。
ゲーム機能で体験価値を提供
もともと単価が低い業種の場合、クーポンや割引などではなく、ゲーム機能で体験価値を提供するという活用方法もあります。
エリア内の店舗でチェックインをするとスタンプがもらえるスタンプラリー型、数字が揃えば特典がもらえるスロット型、1等から5等まである福引き型などのゲーム機能を搭載することで、少し違う形のO2Oマーケティングが可能になります。
まとめ
チェックイン系O2Oアプリというのは、ただクーポンを発行するだけのアプリではありません。
業種とユーザーにあったO2Oマーケティングに活かすためのツールなので、戦略次第で新規顧客を獲得することも可能です。
上手に活用すれば、オンラインからオフラインへ、もしくはオフラインからオンラインというようにどちらからでも購買意欲を高め、集客や売上アップを狙えます。
オンラインとオフラインをつなぐO2Oアプリは、さらに重要になっていくと考えられるので、まだ導入していない場合は早めに検討することをおすすめします。
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