自社アプリは、小売業界や飲食業界、美容業界などあらゆる業界で導入されており、今やマーケティング対策や売上促進に欠かせないツールとなっています。
そのため、まだ自社アプリを持っていない場合、導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
アプリを作る場合は費用がかかるので、どれぐらい予算を確保すればいいのか知っておく必要があります。
ここでは、アプリの必要性や実際にアプリを作る費用について解説していくので参考にしてみてください。
アプリを作る必要性について
Web広告を活用していたり、自社のホームページがあったりする場合、アプリは不要と思うかもしれません。
しかし、スマホユーザーは年々増加しており、手軽にインターネットに接続できる現代ではスマホからアクセス出来るアプリは必要不可欠ともいえます。
この点を踏まえ、アプリの必要性を見ていきましょう。
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ECサイトへの導線を作れる
アプリはECサイトへの導線を作ってくれます。
ECサイトはただ公開していても集客が難しく、SEO対策で検索の上位表示を狙っても効果が出るまでには時間がかかります。
ECサイトの集客では、SNSからアプローチしたりWeb広告を出したりする対策もあります。
しかし、SNSからアプローチするには専任のスタッフが必要ですし、Web広告では高額な費用がかかるわりに、思うような費用対効果が得られないことも多いのではないでしょうか。
アプリからECサイトにアクセスできる仕様にすれば、わざわざECサイトを探す手間が省けます。
手間が省ければユーザーの利用率も高まり、認知度や売上のアップにつながります。
アプリ機能で業務を効率化できる
アプリにはさまざまな機能を搭載できるので、業務を効率化することも可能です。
どういった機能を搭載するかは業種や業務内容によって異なりますが、以下に搭載例を挙げてみます。
ポイント機能 | 会計スタッフの手間の軽減・ポイントカード発行の手間と費用の削減 |
プッシュ通知機能 | DM発送やメルマガ作成の手間と費用の削減 |
データ集計機能 | データ集計をデジタル化できる |
会員制度機能 | アプリ内で自動的にランク変更可能 |
この中でも、特にスタッフへの負担が大きい「データ集計」をデジタル化すれば、マーケティング対策に時間をかけることができます。
多くの情報がデジタル化されている現代では、あらゆる業務をデジタル化出来るアプリが欠かせません。
リピーターを確保できる
アプリにポイントカード機能や会員制度機能などを搭載すれば、リピーターの確保につながります。
紙のポイントカードの場合、お財布がかさばるのでポイントカードを持ち歩かないユーザーは少なくありません。
競合店が紙のポイントカードしか採用していない場合、アプリでポイントを貯められることが自社への誘導につながります。
また、来店するだけでもポイントをつけるなどの特典があれば、来店の動機付けにもなるので、効率よくリピーターを確保できるのもアプリの必要性が高い理由です。
アプリ開発には種類がある
アプリを作る費用は、開発の種類によって異なります。
開発の種類によって機能やデザインの自由度、リリースまでの期間も異なるので、それぞれの開発種類の特徴を押さえておきましょう。
パッケージ型
パッケージ型は、すでにシステムのベースが出来上がっているタイプで、汎用性の高いパッケージです。
つまり、一からアプリを開発するのではなく、「用途に合ったシステムを組み合わせてカスタマイズする」という開発方法になります。
パッケージ製品では、欲しい機能を追加したりデザインを変えたりすることができません。
しかし、パッケージ型であれば必要な機能を組み合わせられるので、理想に近いアプリが作れます。
もともとのベースがあるので費用を抑えたい、という企業に適した開発方法です。
ただし、パッケージによっては扱っていない機能もありますし、デザインの種類も限られているので、事前にイメージに沿ったアプリが開発できるかの確認が必須です。
クラウド型
クラウド型は、クラウドにあるプラットフォームやツールをベースにしたアプリ開発方法です。
クラウドを利用するため、初期費用にセキュリティや運用のコストが含まれていることが多く、安心して使えるという特徴があります。
またインターネット経由で開発を行うので、パッケージ型やフルスクラッチ型よりも低価格でアプリが作れるのが特徴です。
ただし、クラウドのプラットフォームやツールを使うため制約が多く、機能の追加やデザインの変更などの自由度は低くなります。
この開発方法の一番の特徴は費用が安いことなので、機能やデザインより「開発コストを抑えること」を優先している企業におすすめです。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型は、既存のプラットフォームやツールを使わない、ゼロからシステム開発をする方法です。
ゼロから作っていくので、機能やデザインも自由に選べ、イメージ通りのアプリを構築できます。
制約がないので自社オリジナルにこだわっている企業には、もっともベストな開発方法といえるでしょう。
ただし、自由度が高い分費用も高額になるため、予算をしっかり組んでおかなければなりません。
また、ゼロの状態から構築していくので、リリースまでにはかなりの時間を要します。
そのため、「オリジナリティの高いアプリを作りたい」というだけでなく、「予算と時間をかけられる」企業向けの開発方法になります。
アプリを作る費用の相場
アプリを作る費用は、開発方法だけでなくアプリの内容によっても変わります。
ここでは、アプリの種類別の相場を紹介するので、自社が作りたい内容と照らし合わせてみてください。
【種類別・アプリの開発費用相場】
ARアプリ | 1,300~3,300万円 |
ストリーミングアプリ | 1,000~3,900万円 |
ゲームアプリ | 800~3,300万円 |
eコマースアプリ | 800~3,300万円 |
学習アプリ | 800~3,000万円 |
ビジネスアプリ | 600~2,600万円 |
ヘルスケアアプリ | 700~3,900万円 |
リテールアプリ | 600~1,900万円 |
デリバリーアプリ | 500~1,900万円 |
レストランアプリ | 500~1,900万円 |
コミュニティアプリ | 200~1,900万円 |
マッチングアプリ | 200~1,900万円 |
※10万円以下の端数は切り捨て
費用相場に幅がありますが、一番低いのがクラウド型で高いのがフルスクラッチ型というイメージで参考にしてください。
アプリの開発費用を抑える依頼方法
アプリを作る費用は、実際に見積りを出してもらうまで分かりません。
ただし、目についた業者に手当たりしだい見積りをもらっても、適正な価格なのか高額なのかを判断するのは難しいでしょう。
そこで、ここでは開発費用を抑えられる依頼方法を紹介します。
フリーランスに依頼する
フリーランスであれば、アプリ開発専門の制作会社よりも低価格で開発してもらえる可能性があります。
特に、これから実績を作っていく人やフリーになったばかりの人は、安い料金で開発を請け負っているケースもあるようです。
しかし、中にはほとんど経験がない人もいますし、特定のアプリ開発しかしたことがない人もいるので、安いからといって安易に発注するのはやめましょう。
クラウド型開発にする
実績のある制作会社で費用を抑えて発注したい、という場合はクラウド型開発を行っている制作会社を選びましょう。
クラウド型は搭載できる機能が限られているので、場合によっては自社が求める機能を実装できないかもしれません。
それでも、妥協できるようであれば、低コストでしっかりとしたアプリを作れます。
クラウド型は不具合も少なく、利用感は他の開発方法と大差がないので、強いこだわりがなければ一番おすすめの依頼方法になります。
レベニューシェアをする
レベニューシェアというのは、アプリの開発や運営費用を自社と制作会社で分担し、収益を分け合う契約です。
普通の開発依頼の場合は、すべてのコストを自社で負担するのが一般的です。
しかし、レベニューシェアでは収益を分配するので、制作費用も2社で分担できることから開発費用を低く抑えることが可能になります。
マネタイズをするアプリに限定される方法ですが、ゲームやヘルスケア、学習など課金要素があるアプリ開発の場合はこの方法を検討してみましょう。
関連ページ:お店アプリで集客につなげる方法は?業種ごとに解説
アプリ開発にかかるコストについて
アプリ開発費用相場には幅がありますが、これは開発方法だけでなく、開発にかかるコストも要因となります。
開発にどのようなコストがかかるのかを知っておけば、削れる部分も分かるので費用を抑えるための対策が取れるかもしれません。
開発に関わる人件費
開発費用の大部分を占めるのが人件費です。
「エンジニアがいれば開発できる」と思うかもしれませんが、システムの開発ではプロジェクトマネージャーやプログラマーなども必要です。
基本的には開発チームがあり、費用にはこのチームの人件費が含まれるので難易度が高い開発ほど高額になるのです。
デザイン費
新たにデザインを発注する場合は、デザインの戦略から落とし込みまでの作業を行います。
簡単にできるデザインであれば費用を抑えられますが、凝ったデザインになると作業時間も長くなるので、その分費用がかさみます。
サーバー維持費用
リリースをした後にも、サーバーの維持費用が発生します。
当然、サーバーがなければアプリを運用できないので、自社でサーバーを用意出来ない場合はこの費用も予算に入れておく必要があります。
アップデート対応費用
App StoreもGoogle Play Storeも、定期的に新しいパージョンを公開しているので、アップデート対応の費用もかかります。
アップデートに対応しないと「ダウンロードができない」「機能が使えない」などのトラブルが起こり、ユーザーが離れてしまう可能性があります。
不具合修正費用
アプリに不具合が起こった場合は修正費用も必要です。
ユーザーはアプリの不具合に敏感に反応するので、素早い対処をしなければなりません。
不具合を放置するとアプリの評価が下がり、ダウンロード数も減るので、自社で対応できない場合は修正費用も準備しておきましょう。
関連ページ:アプリメンバーズが選ばれる理由
アプリを作る時の注意点
制作会社にアプリを作ってもらう場合、すべてを丸投げしてしまうかもしれません。
ですが、自社でもチェックをしておくべき注意点があります。
チェックを怠ると後々トラブルになることもあるので、それを回避するためにも注意点を確認しておきましょう。
コンプライアンスに抵触しないこと
自社のコンプライアンスはもちろん、公開するアプリストアのコンプライアンスに抵触していないかしっかり確認しましょう。
コンプライアンスに抵触すると、仕様を変更しなければならず余分な費用がかかります。
万が一、公開中止になると費用が無駄になってしまうので、コンプライアンスに違反していないかを必ずチェックしてください。
アプリのクオリティをチェックする
アプリ完成後のトラブルでもっとも多いのが、クオリティの低さです。
クオリティの低いアプリを公開すると、ユーザーからのクレームにつながるので注意してください。
クオリティチェックは、アプリについて知識のあるスタッフが行いましょう。
また、開発を依頼する際には担当者のメール対応や報告漏れがないかをチェックして、誠実な対応をする制作会社を選ぶようにしてください。
納品後のバグへの対応
クオリティチェックが終わって納品となっても、その後でバグが起こることがあります。
バグ自体はしょうがないことですが、自社で対応できなければ公開できないので、事前に納品後のバグに対応してくれるか確認しましょう。
同時に以下の2点も、契約前に確認することをおすすめします。
・アプリ公開後のサポート期間
・アプリ公開後のバグ修正の費用
個人情報に関する取り決めをしておく
アプリの開発でもっとも重要なのが、個人情報に関する取り決めです。
アプリによっては、個人情報を入力してもらうものがあるので、制作会社にも守秘義務を徹底する必要があります。
また、アプリ開発において自社の機密情報を伝えなければならないこともあるでしょう。
そのため、以下の2点を契約時に確認しておいてください。
・セキュリティ方法の確認
・秘密保持契約を締結する
まとめ
自社アプリは、自社で開発をするよりもアプリ開発サービスを利用した方が費用を抑えることができます。
ただし、初期費用が安いからといって、安易にサービスを選んでしまうのはNGです。
自社アプリというのは作る費用だけでなく、リリース後は運用やセキュリティのためのコストが必要になるケースも少なくありません。
作る費用だけでいえば、不要な機能を搭載しない、デザインはテンプレートから選ぶなどの工夫でコストを抑えられます。
そのため、依頼をする前にリリース後のコストも含めてしっかり見積りを行なうことが重要です。
いずれにしても、アプリ開発サービスの選び方がアプリを作る費用に大きく関わってくるので、複数のサービスから見積りをもらって慎重に検討してください。