店舗アプリなどに搭載されているプッシュ通知は、企業がユーザーにアプローチできる有効な手法として使われています。
ユーザーへのアプローチ方法は、他にもメルマガやDMなどがありますが、スマートフォンのトップ画面に表示されるプッシュ通知の方が開封率が高いというメリットがあります。
ただし、いくら開封率が高くても、無駄に長く文字数の多い内容では迷惑メールと同じ扱いをされてしまうので注意しましょう。
ここでは、プッシュ通知の適切な文字数や効果の高い使い方を解説していきます。
プッシュ通知は文字数で変わる?
アプリによって違いはあるものの、プッシュ通知の文字数制限は一般的に40~120文字となっています。
といっても、スマートフォンにポップアップ表示されるのは約40文字なので、120文字の通知を送ったとしてもユーザーが通知センターにアクセスしなければ最初の文章しか読めません。
そのため、最初の文章が通知をクリックしたい内容でなければ、開封されないまま放置されることがあるのです。
また、たとえ興味を持って開封してもらえたとしても、特に利益を感じられない内容が120文字も書かれている場合は次回から開封してもらえなくなる可能性があります。
つまり、プッシュ通知はただ長い文章を送れば良いということではないのです。
逆に、短い方が目的を明確に伝えやすいので、文字数を制限いっぱい使うことより、いかに歯切れ良く分かりやすいメッセージを送れるかが開封率に大きく関わってくるのです。
プッシュ通知の必要性
アプリを使ったマーケティングでは、プッシュ通知の活用が必須とされています。
では、なぜプッシュ通知を活用した方がよいのか、その必要性を解説します。
ユーザーへのアクティブ誘導
プッシュ通知は、ユーザーへのアクティブ誘導になります。
アプリをインストールしていても、企業側からアプローチをしなければ、来店時に会員カードやポイントカードとしてアプリを開くときしか使わない、というユーザーは少なくありません。
来店頻度が高ければ問題ないかもしれませんが、商品やサービスによっては月に数回しか来店しないこともあるでしょう。
アプリを開いてもらわなければ、アプリ内でセール情報やイベントの告知をしてもマーケティングに役立てることができないのです。
プッシュ通知で情報を発信すれば、クリックや開封してもらえる確率が高くなり、ユーザーに情報を届けやすくなることからプッシュ通知は必要とされているのです。
アプリを活用する人が増加しているから
総務省の調査によると、インターネット利用端末でもっとも多いのはスマートフォン(68.3%)となっており、パソコン(50.4%)を上回っています。(※1)
また、スマートフォンの利用時間のうち、ブラウザの利用時間は約8%ですが、アプリは92%もの利用時間となっています。(※2)
これらの結果から分かるように、スマートフォンのアプリを活用する人は増加しており、今やユーザーと企業をつなぐ重要なツールとなっているのです。
アプリのプッシュ通知を使ってつながりを深めることが、集客率や売上のアップの可能性を高めてくれるのでプッシュ通知は必要不可欠な機能となるのです。
引用元:総務省 インターネットの利用状況
プッシュ通知のメリットについて
プッシュ通知の機能は基本的に標準装備されていますが、アプリによっては有料で追加しなければいけないこともあります。
このような場合、コストをかけてまで追加する必要があるのか、疑問に思うかもしれません。
しかし、プッシュ通知にはそれだけのメリットがあるので見ていきましょう。
アクティブ率がアップする
プッシュ通知には、アクティブ率をアップさせるというメリットがあります。
アプリをマーケティングに活用する場合、ついダウンロード数を気にしてしまいますが、アクティブ率も同じぐらい重要です。
いくらインストールされていても、アクティブ率が低ければパフォーマンスが低くなります。
クーポン発行などでもアクティブを促せますが、頻繁に割引サービスを行ってしまうとユーザーは割引価格に慣れてしまいます。
プッシュ通知であれば、お得な情報だけでなく新商品・サービスの紹介やコンテンツ更新の告知などでもアクティブ率をアップさせることが可能です。
情報をリアルタイムで発信できる
プッシュ通知は、情報をリアルタイムで発信できるメリットもあります。
インターネットの普及に伴い、現代では多くの情報を簡単に入手できます。
ユーザーはどんどん入ってくる新しい情報を整理しながら、必要なものだけを厳選して取り入れなければなりません。
そのため、企業から発信する情報もリアルタイムでなければ、「無駄」と判断されてしまいます。
プッシュ通知を使えば、デジタルチラシを更新したタイミングで告知できますし、セールやイベントなどの情報もすぐに配信できます。
「アプリを見たときにはすでにセール期間が終わっていた」「デジタルチラシが古い」など、ユーザー離れを引き起こすようなトラブルも防げます。
リアルタイムにお得な情報発信ができれば、「仕事帰りに寄ってみよう」「出掛けたついでに覗いてみよう」というような来店誘導も可能なので、売上アップが期待できるというメリットもあります。
ユーザーの手間を省ける
プッシュ通知は、タップするだけで情報を取得できるので、ユーザーの手間を省けるのもメリットです。
情報発信はメルマガやホームページなどでもできますが、メールやWebサイトにアクセスして、自分で情報を探さなければなりません。
企業側からの情報を自分で探すというのは、目的があって検索をするのとは違い、ユーザーにとっては面倒なことです。
実際のところ、メルマガの開封率は約30%とかなり低いので、たとえ自社のファンであっても情報は届きにくいのが実情です。
プッシュ通知であれば、タップするだけなのでユーザーが「面倒」と感じることなく、伝えたい情報を見てもらえます。
プッシュ通知のデメリットについて
プッシュ通知にはメリットがある反面、デメリットもあります。
ここでは、どういったデメリットがあるのかを紹介していきます。
通知の頻度が高いとユーザー離れにつながる
通知の頻度が高いと、ユーザーのアプリ離れにつながるというデメリットがあります。
確かに、プッシュ通知を送ればアクティブ率は上がります。
しかし、似たような情報を何回も送ったり、一回の通知で済むような内容を小分けにして送ったりすると、ユーザーは通知を「しつこい」と感じるかもしれません。
通知音が出る設定にしている場合、「うるさい」と思われることもあります。
いずれにしても、むやみにプッシュ通知を利用すると不快感を与える可能性が高いので、有益な情報や告知だけに使うようにするのがベストです。
通知時間によってはユーザーのストレスになる
通知時間によっては、ユーザーにストレスを与えるというデメリットもあります。
仕事中の昼10時や休日の朝7時、夕食時の午後7時などは、通知をしないように配慮しなければなりません。
人は、忙しいときやゆっくりしたいときに通知が来ると、内容に関係なくストレスを感じることが多いそうです。
企業側としては、朝やオープン時間に来店を促すための通知を送りたいかもしれません。
しかし、時間帯によっては逆効果になり、結果的にアプリ自体嫌われてしまうこともあるので注意しましょう。
内容によっては押しつけがましくなる
内容によっては、押しつけがましくなるのもデメリットです。
プッシュ通知は売上や集客率アップのための施策なので、「今来ればお得だから」「今を逃すと損ですよ」というような「お得の押しつけ感」が出てしまうことがあります。
たとえ有益な情報であっても、押しつけ感があるとユーザーからは嫌がられてしまいます。
情報は発信する側の視点になりがちですが、マーケティングとして配信する場合は、ユーザーがメリットを感じられる内容を送るようにしましょう。
プッシュ通知の効果を高める使い方
プッシュ通知は、Webページへの誘導効果がメルマガの10倍以上といわれるほど、アクティブ数が高い機能です。
しかし、ただ送信すればマーケティング効果が得られるというものではありません。
ここでは、プッシュ通知の効果を高める使い方を紹介するので、今後の運用の参考にしてみてください。
ユーザーに有益な情報を発信する
繰り返しになりますが、ユーザーに有益な情報を発信することは、プッシュ通知の効果を高めるための基本です。
ここで気を付けたいのは、セール情報やクーポン配布だけが「有益」ではないということです。
確かに、お得な価格で購入できるのは有益な情報ですが、業種によってはユーザーにマッチした情報を届けられるように工夫してみましょう。
・○○を使ったアレンジレシピ紹介
・○○で効率よくダイエット
・30代におすすめの○○
というように、セグメントと自社商品をマッチさせた有益な情報を盛り込むと、プッシュ通知に対するイメージをアップさせることが可能です。
「クーポンやイベント情報を流すだけ」ではなく、多角的に有益情報を発信すれば、ネガティブな印象もなくなるので効果が出やすくなります。
アクセスしやすい時間帯に通知する
プッシュ通知は時間を選ばず配信できるので、企業側の都合で送ってしまうことが多いかもしれません。
しかし、ユーザーはいつでもアクセスできるとは限りません。
そのため配信してから時間が経ってしまうと、他のアプリの通知に埋もれてしまう可能性があります。
ユーザーが何時頃スマートフォンをチェックするか、把握するのは難しいかもしれません。
しかし、アクセスしてもらわなければ効果が出ないので、セグメントのライフスタイルを考慮して発信する時間をきめましょう。
通知の回数を適正化する
通知の回数に関しては、多すぎるとユーザー離れを起こす可能性があるものの、業種や提供サービスによってベストな回数は違ってきます。
一般的には週に1回程度が良いと言われていますが、昼と夜に日替わりメニューを出す飲食店であれば、1日2回通知を配信することで来店を促せます。
しかし、雑貨店の場合は新商品を入荷したり、セールを行ったりするタイミングがベストなので、週に1回がベストかもしれません。
このように、店舗によって適切な配信回数は違うので、1日もしくは1週間の配信回数と開封率をチェックするなどテスト運用をしてみて、自店にとってベストな回数を把握しましょう。
プッシュ通知の効果を分析する
効果を高めるには、現時点での効果を分析することも重要です。
ユーザー目線で考えて情報発信をしていても、アクセスしやすい時間帯に配信しているとしても、本当に効果が出ているかは分析しないと分かりません。
アプリでは、クリック数やアクセス数なども簡単にデータ化できるので、定期的に確認し、改善が必要なところを洗い出しましょう。
どこを改善すればいいのか分からない場合は、A/Bテストを実施するのもおすすめです。
A/Bテストというのは、パターンの異なるプッシュ通知を2つ配信し、ユーザーに利用してもらって効果を比較するテストです。
このテストでは、プッシュ通知の配信時間や属性を確認したり、どういった内容が好まれるかをチェックしたりできるので、改善点を把握しやすくなります。
まとめ
アプリのプッシュ通知は、企業とユーザーをつなぐ架け橋となる機能であり、伝えたい情報を配信するための重要なツールです。
しかし、やたらと文字数が多かったり配信頻度が高かったりすると、敬遠されてしまいマーケティング対策に活かせなくなることがあります。
もしも、「最近プッシュ通知の反応が悪い」「開封率が低くなっている」と感じたら、文字数や配信内容の見直しや配信頻度を減らすなど運用方法を改善してみましょう。
プッシュ通知はユーザーにとっては有益な情報であることが重要なので、たくさん配信することより、しっかり内容を吟味してマーケティング対策に役立ててください。
関連ページ:アプリのプッシュ通知とは?主な種類や配信方法、効果を高めるコツを徹底解説