スマホアプリにはクーポン発行機能やポイントカード機能など、さまざまな機能が搭載されていますが、中でも重要だと言われているのが「プッシュ通知」という機能です。
企業側から顧客に情報を発信するツールとなるプッシュ通知は、ネットマーケティングに欠かせません。
といっても、すでにメルマガやダイレクトメールなどで情報を発信している企業からすると、「わざわざ導入する必要はない」と思うかもしれません。
しかし、プッシュ通知はメルマガやダイレクトメールでは得られない効果があります。
ここでは、実際にどれだけの効果があるのかを紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
プッシュ通知とは
プッシュ通知とは、アプリから直接ユーザーへ配信できるメッセージです。
プッシュ通知を送ると、ユーザーのスマホ画面上にタイトルとメッセージ内容の一部が表示されます。
この通知はタップするだけで開封できるので、ユーザーは手間をかけることなくメッセージ内容を確認できます。
プッシュ通知には、ローカルプッシュとリモートプッシュという2つの種類があり、使い分けることによってマーケティングや売上対策などに活用できるのが特徴です。
もともとネイティブアプリ(※)で使用されていた技術なので、スマートフォンとの相性が良く、企業側もユーザー側も使いやすい機能となっています。
※ネイティブアプリはApp StoreやGoogle Playからダウンロードできるアプリです。
プッシュ通知にはどれだけの効果がある?
企業側から顧客に直接情報を発信する手段としては、メールマガジンの発行やダイレクトメールが主流でした。
実際のところ、現時点でもこれらの手法で情報を発信している企業は少なくありません。
しかし、メールマガジンの開封率は小売業で約27%、観光・エンターテイメントで約26%となっており30%にも満たないのが実情です。
参考:平均メール開封率レポート 【2022年版】 業種別・地域別(国別)の最新情報
本人宛のダイレクトメールの開封率は63.1%と高い数字になっているものの、「行動喚起率」は21%に留まっています。
つまり、メールマガジンやダイレクトメールもユーザーに情報を届けられる手段ではあるものの、マーケティングにはつながっていないのです。
一方、プッシュ通知の開封率は約60%となっています。また、プッシュ通知から起動、商品閲覧の割合は実店舗で購入できるものは約23%、購入できないものは約34%とアクティブ率も高いという結果がでています。
参考:【Yappli×WACUL共同研究】アプリで売上を伸ばすベストプラクティスを発表〜ECアプリ32種、81万人の行動、約3,500のプッシュ通知データを分析〜
つまり、アプリのプッシュ通知はメールマガジンなどと同じく情報発信の手段の1つですが、従来の手法より「開封率」や「アクティブ率」がアップするという効果があるのです。
アプリの継続率が上がる
プッシュ通知は、アプリの継続率を上げるという効果もあります。
ユーザーのスマートフォンには、店舗アプリだけでなくSNSやゲーム、ニュースなどさまざまなアプリがインストールされています。
SNSやゲーム系のアプリは自分からアクセスしますが、店舗アプリの場合は欲しいものがあるときや来店したときにしか開かないというユーザーも少なくありません。
そのため、企業側からアクションを起こさないと、「不要なアプリ」となってしまい離脱率が高まります。
しかし、プッシュ通知はアプリを起動していなくてもスマートフォンに表示されます。
通知を許諾しているユーザーであれば、通知をタップしてくれる可能性が高いので、アプリをそのまま継続利用してもらえる効果がアップするのです。
ロイヤリティ向上
プッシュ通知には、顧客のロイヤリティ向上効果も期待できます。
ロイヤリティというのは、企業に対するユーザーの愛着度や信頼度のことです。
新商品入荷やセールの情報をプッシュ通知で発信することで、ユーザーに「新商品をすぐに知ることができる特別感」や「セール情報を逃さないお得感」を感じてもらえます。
また、アプリへの接続が増えることで愛着を持ってもらえたり、公式の情報発信により信頼してもらったりすることが、顧客ロイヤリティの向上につながります。
プッシュ通知がユーザーに与える影響
プッシュ通知がユーザーに与える影響とは、購買意欲の促進です。
購買意欲は、「自分で欲しいと感じたとき」だけでなく、コマーシャルやSNSの投稿を見たときなど、第三者からの発信がきっかけで促されることもあります。
つまり、ユーザーが商品やサービスを目にすることで、それまで興味がなかったものであっても「欲しい」と思ってもらえる可能性があるのです。
とは言え、テレビコマーシャルやインフルエンサーマーケティングは高額な費用がかかりますし、ネット広告は興味がなければクリックしてもらえません。
しかし、自社アプリのプッシュ通知であれば費用はかかりませんし、開封率も高いので商品やサービスを見てもらうことができます。
購入までいたらないとしても、プッシュ通知がきっかけとなって行動したことがあるユーザーは約40%となっているので、マーケティングの1つとして十分に活用できると言えるでしょう。
プッシュ通知への反応について
アプリのプッシュ通知は、メルマガなどよりも開封率が高いことはおわかりいただけたと思います。
しかし、実際のところ、ユーザーがどのような反応をしているのか気になるという方もいるのではないでしょうか。
ここでは、「許諾率」「嫌悪感」「継続率」の3点からプッシュ通知に対するユーザーの反応を解説していきます。
プッシュ通知の許諾率
プッシュ通知の許諾率は、プラットフォームや業種によって違いはあるものの、平均は45%程度となっています。
ではカテゴリ別で見ていきましょう。
カテゴリ | 最小許諾率 | 最大許諾率 | 平均 |
スポーツ | 16% | 75% | 48% |
メディア | 23% | 96% | 50% |
ゲーム | 16% | 92% | 35% |
リテール | 16% | 90% | 46% |
エンタメ | 11% | 87% | 45% |
ギャンブル | 28% | 60% | 46% |
許諾率の最小と最大にはかなりの幅がありますが、プッシュ通知の使い分けを調べると、「すべてONにしている」という人は23%となっており「アプリによって変える」という人は55%という調査結果があります。
つまり、カテゴリ別で見ると最小の許諾率は11%ですが、全体で見れば20%以上の人が許諾をしているので、ユーザーにとってプッシュ通知は利便性を感じてもらえるツールといえるかもしれません。
ちなみに、「すべてONにしている」理由は以下のような結果になっています。
セールやキャンペーン情報をタイムリーに確認できるから | 54% |
クーポンをもらえるから | 52% |
ポイント失効日やクーポンの有効期限を教えてくれるから | 24% |
この結果から分かるように、セール情報やクーポン発行などのプッシュ通知を増やすことで許諾率アップが狙えます。
プッシュ通知への嫌悪感
プッシュ通知には、「アンインストールされる可能性がある」というデメリットがあると言われています。
そのため、プッシュ通知への嫌悪感が気になるという方もいるかもしれません。
確かに、プッシュ通知の配信頻度やメッセージの内容によってアンインストールされることもありますが、実はプッシュ通知自体への嫌悪感はほとんどないのです。
アプリマーケティング研究所が1万人にアンケートをとった結果では、「プッシュ通知を受け取ってもよい」と回答したユーザーは80%もいることが分かっています。
一方、「必要ない」と回答したのは男女ともに17%となっているので、約8割のユーザーは嫌悪感を持っていないと考えられるのです。
プッシュ通知の継続率
アプリは継続して使ってもらってこそマーケティングに役立てることができますが、プッシュ通知は継続率にも大きく関わっています。
プッシュ通知をONにしているユーザーの6ヵ月の継続率は25%、OFFのユーザーは13%となっています。
「アプリの継続率が上がる」の項目でも触れましたが、これらの数字から分かるように、プッシュ通知というのは継続率を上げる効果が絶大なのです。
ちなみに、何も施策を行わないまま放置した場合、1ヵ月後には約90%のユーザーが離脱 してしまうことがあるそうです。
業種によってアプリの必要性は異なりますが、日常的に使わないアプリの場合、継続してもらうためにはプッシュ通知が必要不可欠といえるかもしれません。
プッシュ通知をするときの注意点
プッシュ通知は、アプリを起動するきっかけになります。
しかし、やみくもに配信すれば良いというものではありません。
大事なのは、ユーザーに嫌がられることなく通知を開封してもらうことです。
ここでは、プッシュ通知をするときの注意点を解説するので、運用する際の参考にしてみてください。
通知内容にあったランディングページに移動できるようにする
プッシュ通知で一番注意したいのが、通知内容にあったランディングページに移動できるようにしておくことです。
たとえば、クーポンを発行した場合、通知をタップしたらすぐにクーポンページに飛べるようにしましょう。
プッシュ通知の開封率が高いのは、Webサイトのようにトップページからコンテンツに移動する手間がないからです。
企業側としてはトップページでいろいろな情報をチェックしてもらいたいかもしれません。
しかし、クーポンを取得するために開いたのにトップページに飛んでしまうと、そこからクーポンページを探すのが面倒になってしまいユーザーの離脱を招きます。
たまに、トップページに飛ぶ内容の通知を送るのは問題ありませんが、通知内容と関係のないランディングページに移動しないように注意しましょう。
嫌悪感を抱かれる配信内容
プッシュ通知自体に嫌悪感を持っているユーザーはほとんどいませんが、配信内容によっては嫌悪感を抱かれてしまうので注意してください。
訴求内容が分かりにくい
訴求内容が分かりづらいと、ユーザーはいらいらして嫌悪感を抱くことがあります。
たとえば「営業時間の変更」と「新商品の紹介」を同じメッセージで送ってしまうと、情報がごちゃごちゃになってしまいます。
内容は関連性のあることだけに絞り、関係ない情報を並べないようにしましょう。
営業目的の通知ばかり送る
企業にとって、プッシュ通知はマーケティング対策の1つですが、ユーザーは情報を取得するための手段となっています。
そのため、営業目的の通知ばかり送られてくると、嫌悪感を抱くことがあります。
営業も大事ですが、ユーザーに有益な情報がないとアンインストールにつながるので注意してください。
魅力的なタイトルをつける
通知の効果を高めるためには、魅力的なタイトルをつけるのがベストです。
プッシュ通知のタイトルを重視していないと、常に似たようなタイトルになってしまい、ユーザーの興味を引かなくなってしまいます。
たとえば、新商品入荷のお知らせを送る場合、毎回「新商品入荷!」というタイトルにしがちです。
しかし、ユーザーのニーズに合っていない商品紹介が続いてしまうと、「また同じような物」と思われてしまい開封されません。
通知を許諾しているユーザーであっても、ほとんどのユーザーはタイトルをチェックして開封するので、「開きたくなる」魅力的なタイトルをつけましょう。
ユーザー別に発信情報を変える
ユーザー別に発信情報を変えることも、プッシュ通知では重要です。
毎回、一斉配信ばかりではユーザーも飽きてしまいます。
情報によっては一斉配信でも問題ありませんが、定期配信はユーザーの利用状況を把握して、それぞれの好みやニーズに合った情報を送りましょう。
少し手間がかかる作業かもしれませんが、最初に年代や性別、購入履歴、アプリの利用歴などでセグメント化をしておくとスムーズに配信できるでしょう。
まとめ
業種に関係なく、今は多くの企業が自社店舗のスマホアプリをリリースしています。
しかし、アプリはユーザーのアクティブ率が重要です。
商品購入やサービス利用時にインストールをしてもらっても、ユーザーが積極的にアプリを活用してくれなければマーケティング対策になりません。
プッシュ通知は、ユーザーのアクションを促す効果に優れています。
とは言え、配信頻度や内容をセグメントに合わせないと逆に嫌悪感を持たれてしまうので、注意点をチェックしながら上手に活用していきましょう。
関連ページ:アプリのプッシュ通知とは?主な種類や配信方法、効果を高めるコツを徹底解説