商品やサービスの販売促進をするための施策として、ブランディングが挙げられます。ブランディングが成功すると、特定の商品やサービスに対する、ファン層を形成できます。消費者がファン化すると、商品などのリピーターとなります。そして、このファンは、一説には8割の利益を生み出す存在とも言われています。
その一方で、スマートフォンが普及している現代社会では、一般の生活者は毎日のようにアプリに接していて、インフラになりつつあります。実際に、商品やサービスをブランディングする手法として、アプリを導入するケースが散見されています。本記事は、ブランディングの基礎知識とともに、アプリを用いたブランディングのテクニックや成功事例をご紹介していきます。
ブランディングとは、独自の価値を認知させること
ブランディングとは、自社や自社商品などを競合と差別化することを目的に取り組む施策のことです。ブランディング施策を実施することで、自社や自社商品・サービスを特別な存在として認知づけることができます。ブランディングでは、単純に認知をさせるだけでなく、「この商品といったらこの会社」といったイメージを結びつけることが重要になります。
ブランディングとマーケティング、プロモーションの違い
ブランディングとマーケティング、プロモーションは、最終的に商品の売上を高めることが目的である点で似通っています。ただし、その過程や施策にかける期間などの点で異なります。
まず、マーケティングとは、自社商品やサービスを販売する仕組みを構築する活動のことです。マーケティングでは、市場調査、流通やプロモーションなどの戦略設計、戦略の実行、戦略の見直しといったフローを踏むことになります。その一方で、プロモーションとは、商品やサービスを認知させる活動を指します。その手法としては、広告宣伝、広報PR、キャンペーンの実施などが挙げられます。つまり、プロモーションは、マーケティングの一部の活動に位置づけられるということです。そして、ブランディングでは、商品の価値を高めるために活動します。ブランディングの場合は、商品の価値を浸透させるという性質上、長期的な施策となります。
ブランディングの種類
一口にブランディングといっても、その種類はさまざまです。
まず、ブランディングするターゲットの観点から、インナーブランディングとアウターブランディングの2つの種類にわかれます。インターブランディングとは、自社内の従業員に対して、自社の企業理念などを共有して愛社精神を育むことです。従業員が自社で働くモチベーションを高め、業務効率を向上させる効果があります。そして、アウターブランディングとは、消費者やステークホルダー、求職者など、外部の関係者に対して自社や自社商品などの情報を発信し、特別な価値を伝えることです。さらに、アウターブランディングは、訴求するモノによって、下記のように手法がわかれます。
- 商品ブランディング
- 企業ブランディング
- 採用ブランディング
それぞれの手法で相互作用をもたらす効果があるのですが、このうち、もっとも一般的に用いられるのが商品ブランディングです。
商品ブランディング
商品ブランディングとは、自社商品やサービスにおける、独自の価値を認知させる取り組みのことです。商品ブランディングでは、主に消費者や取引先といった顧客に商品やサービスの魅力を伝えていくことになります。たとえば、「スナック菓子といったらこの商品」といった、そのカテゴリの代名詞的な存在に育てていきます。
また、商品ブランディングの場合は、1つの商品やプロジェクトに対して施策を取り組むことになります。そのため、消費者ニーズにマッチしない、商品に力がないケースでは、そもそもブランディングが効果を発揮できない事態に陥ります。商品ブランディングを展開する際には、実績を持つ商品、社運をかけて開発した商品など、自社にとって特別な商品であることが必須となります。
企業ブランディング
企業ブランディングとは、自社の理念や社会的な価値を認知させる活動のことです。主に、消費者やステークホルダーを対象に、企業イメージの向上などを目的として実施されます。企業ブランディングが進むと、業界内でも注目を浴びる企業に成長します。そして、新商品やサービスを提供する際に、「あの会社の新商品が出た」と認知されるようになり、商品の販売促進にもつながります。
採用ブランディング
採用ブランディングとは、求職者に対して、自社の社会的な価値や業務の魅力を伝える活動のことです。採用ブランディングは、自社特有の価値を伝える点では企業ブランディングと共通しています。ただし、採用ブランディングの目的は、あくまでも自社にマッチする応募者を増やすことを目的としています。そのため、伝える内容として、自社の活動や商品の魅力よりも、業務や働きがいなどの情報に重きを置きます。そのための具体的な情報としては、自社で働く従業員の生の声を伝えるといったものが挙げられます。
商品ブランディングの利点と注意点
商品ブランディングを通じて、自社商品やサービスのブランドが確立すると、さまざまな利点があります。まず、最初に挙げられるのが、ファン層を形成できるという点です。「外食するならあのお店」という安心感を与えられることから、他社の店舗と比較することなく自社店舗が選択されやすくなります。このように、ブランディングを図ることで、このようにサービスと消費者の関係性を強固にすることが可能です。
その一方で、ブランディングは即効性を求める施策に向いていません。ブランディングを確立するまでには、自社商品やサービスの情報を認知させて、なおかつ消費者が商品やサービス体験を繰り返する工程を踏みます。こうした事情から、自社商品などがブランドとして世間に広く浸透するまでに一定の期間を要します。また、長期間にわたって、定期的に広告やプロモーションを展開する必要があることから初期費用がかかります。
ブランドに用いられる要素
そもそもブランドとは、社会的に区別されている状況にある、特定の商品やサービスを指します。このとき、消費者がブランドを識別するためのアイコンになるものとして、次のようなものが挙げられます。
- ブランド名
- ブランドロゴ
- イメージカラー
具体的にいうと、飲食店舗の場合は、下記のような要素もブランド形成に役立ちます。
- 看板やのぼり
- 店舗の内装デザイン
- オペレーションシステム
- スタッフの制服
また、商品の場合は、次のような要素が存在します。
- 商品パッケージや包装
このように、ブランディングを図るときには、商品やサービスのイメージカラーを基調にして、デザインしていくことになります。
アプリを用いたブランディング施策の進め方
現代社会において、スマートフォンは、インフラと化しています。スマホ内にインストールしたアプリは、消費者にとって、生活上で極めて身近なコンテンツになっています。そのため、ブランディングを展開するうえでは、アプリが役立ちます。
たとえば、飲食店舗においては、店舗アプリを導入することで、店舗のブランディング施策に役立ちます。そこで、「アプリを用いた飲食店のブランディング」を事例として解説します。このケースでは、次のような手順で作業を進めることになります。
- 店舗のブランドコンセプトを確認する
- ブランドコンセプトにあわせて、店舗アプリを設計する
- 店舗アプリの効果を測定する
1.店舗のブランドコンセプトを確認する
一般的に、飲食店舗を運営する際には、店舗のブランドコンセプトを設定します。そもそも、ブランドコンセプトとは、ブランドの価値や考え方を言語化したものを指します。そして、このブランドコンセプトは、下記のように、店舗のブランドを形成するさまざまなものに反映されます。
- 店舗名
- 店のロゴ
- 料理のジャンルとラインナップ
- 店内の内装デザイン
自社の店舗がどのようなメッセージを消費者に伝えようとしているのかを確認しましょう。また、口コミ情報をチェックして、店舗が消費者にどのようにみられているかの再確認をすることも大切です。
2.ブランドコンセプトにあわせて、店舗アプリを設計する
店舗をブランディングする際には、工夫したプロモーション活動が求められます。店舗アプリを配信して、集客につなげることを検討しているケースでは、店舗イメージを反映してアプリ制作しましょう。たとえば、アプリ制作時には、下記のような点を店舗デザインに合わせます。
- アイコン
- メインビジュアル
- ページデザイン
- フォントデザイン
- UIデザイン
なお、アプリメンバーズでは、店舗アプリ作成サービスを提供しています。飲食店のほか、販売店、宿泊施設、クリニックなど、さまざまな業種の店舗や施設で導入実績があります。とくに、簡単で便利な機能のアプリを制作したい方におすすめです。
関連ページ:アプリメンバーズの無料相談サービス
3.店舗アプリの効果を測定する
店舗アプリの運用を開始したら、アクセス解析ツールを利用して効果測定を進めます。具体的には、「継続して起動されているか」、「集客効果が発生しているか」といったことを確認することになります。アクセス解析では、下記のような項目をチェックします。
総ユーザー数 | 指定期間内にアプリを起動した人数のこと |
新規ユーザー数とリピーター数 | 指定期間内に新たにアプリを起動した人数、2回以上アプリを起動した人数のこと |
ページセッション | 1ユーザーがアプリ内で回遊したページ数のこと |
イベント発生数 | 特定のアクションをした人数のこと |
このうち、「総ユーザー数」をチェックすると、アプリがどの程度の規模で利用されているのかの大まかな目安を把握できます。そして、「新規ユーザー数」や「リピーター数」、「ページセッション」を観察すると、ユーザーの行動や利用頻度を知ることが可能です。さらに、「店舗の予約完了」といったコンバージョンをイベントに登録すると、「イベント発生数」を確認できます。「イベント発生数」を計測することで、アプリの集客効果を可視化できます。このように、アクセス解析をすることで、運用中のアプリの課題や改善ポイントが判明します。
このほか、アプリユーザーに対してアンケートを実施して、アプリに対する意見を募り、改修点のヒントを得るといったテクニックもあります。
店舗アプリの導入でブランディングに成功した事例
店舗アプリの導入でブランディングに成功したケースとして、津軽びいどろ 東京ミッドタウン八重洲店が店舗アプリを導入した事例をご紹介します。
ガラス食器ブランドのアデリアでは、ガラス工芸品の津軽びいどろを扱っています。そして、オフィシャルショップとして、津軽びいどろ 東京ミッドタウン八重洲店をオープンしました。同店舗では、「日々の暮らしに彩りを。グラスにうつる、日本の四季」をコンセプトに、店内の壁にガラス粒を練り込ませるなど、独自の世界観を演出しています。
同店では、オープンにあわせて、リピート顧客を増やすためのツールを探していました。併せて、店舗ブランディングの観点から、「スマートフォン内に店舗のアイコンを置くこと」を検討していました。そこで、スタンプカードとしても使えて顧客のリピートを見込める、アプリメンバーズのアプリ作成サービスを導入することになりました。
実際に、アプリを用いたスタンプ機能によって、集客効果が生まれていることを実感しているとのことです。また、店舗のブランディングの観点からも、店舗アプリを導入してよかったと、同店がコメントしています。
参考:【導入事例】津軽びいどろ
まとめ
ブランディングとは、商品やサービス、企業といった特定のモノを他者と差別化して、独自の価値を持つことを社会に広く認知させる手法です。そして、商品やサービスのブランド化を図る活動のことを、商品ブランディングといいます。商品ブランディングを進めるうえでは、プロモーション活動が不可欠となります。近年では、このときにアプリを活用するケースが増えています。商品ブランディングでアプリを導入する際には、商品やサービスのイメージカラー、メッセージ性などを考慮のうえでアプリ制作に取り組みましょう。