「観光は“点”ではなく“面”でつくるもの。
自社だけでなく、街全体で楽しんでいただく仕掛けが必要だと考えています。」
株式会社 古湧園 真鍋 様
導入前の課題
・グループ内の買い回りが伸びず、特定店舗に偏っていた
・個人予約中心となり、自社からのコミュニケーションが不足していた
・顧客情報が分散し、常連度合いをスタッフ間で共有しづらかった
選定理由
・初期投資が抑えられ、QRコードだけで運用できる手軽さ
・ホテル規模に合ったシンプル運用が可能
・「親身で継続的に伴走してくれた」サポート体制
導入後の成果
・グループ店を「楽しく巡る」動きが少しずつ広がっている
・地元の入浴客など、見えていなかったリピーター層が可視化
・スタンプ交換時の会話が増え、コミュニケーションのきっかけに
道後温泉本館のすぐそばに位置し、開業70年以上の歴史を持つ「古湧園」様。
お土産店・飲食店・宿泊施設・旅行部門まで幅広く展開し、“点ではなく面で道後の魅力を届けたい” という想いのもと、街全体の回遊・体験づくりにも積極的に取り組んでいます。
そんな同社が抱えていたのは、グループ店舗間の買い回り促進と、個人旅行時代におけるコミュニケーションの不足。
そこで導入いただいたのが、QRスタンプによる店舗回遊を軸にした「アプリメンバーズ」でした。

【お話をお伺いした人】
株式会社古湧園
営業部企画広報課 課長 真鍋こずえ 様
「面で届ける観光」を道後から。古湧園が描くこれから

古湧園様は、現在の道後商店街周辺で営んでいた飲食店からスタートし、そこからお土産店、さらに温泉旅館・ホテルへと事業を広げてきました。
いまでは商店街内に複数の物販店舗を構え、宿泊施設「古湧園 遥」に加えて、滞在中の体験づくりや旅程づくりをサポートする旅行部門も立ち上げるなど、道後での滞在をトータルで支える体制へと発展しています。
古湧園様が大切にしているのは「観光は点ではなく面で届ける」という考え方。お土産、飲食、宿泊、街歩き──それらがつながることで、初めて「また来たい道後」が生まれます。
しかし店舗数が増えるほど、“人気の店だけに偏る”という課題も見えてきました。
「別のお店のプリンの容器がホテルの部屋にあり、『うちでも買っていただきたいな…』と思うこともありました。」(真鍋 様)
こうした“小さな機会損失”が、買い回りを促す仕組みを探すきっかけになりました。
人が戻っても、「お客様の姿」が見えないジレンマ

2019年に一度建物を更地にし、温泉旅館からホテルへと生まれ変わった「古湧園 遥」。
リニューアル直後にコロナ禍に突入し、一時は厳しい状況が続いたものの、その後は街づくりの取り組みや各種プロモーションの効果もあり、道後エリア全体としては観光客が戻りつつあります。
アジア圏を中心としたインバウンド需要や、新しいお土産店・飲食店の出店も相まって、商店街には再び賑わいが生まれていました。
一方で、かつて主流だった「旅行会社主導の団体旅行」とは違い、現在はお客様自身がインターネットで宿泊予約を行う「個人予約」が中心になっています。
「昔はバスで団体のお客様がどっと来られていたのですが、今は個人や小グループのご旅行がほとんどですね。」(真鍋 様)
旅行会社を通じた送客が減ったことで、「誰がどのような目的で来館しているのか」「どのくらいの頻度で利用してくださっているのか」といった顧客情報が見えにくくなりました。
そのため、個々のお客様の行動や背景を把握しづらいという課題が浮き彫りになったのです。
「ネット予約の時代になり、個人の方に直接どうアプローチするかが重要になりました。」(真鍋 様)
そこで古湧園 様では、「どうすれば、自分たちからお客様に働きかけられるか」を改めて検討し始めます。
ポイントじゃなく、「楽しい回遊」を増やしたい

「どれだけ買ったか」ではなく、「どう巡ったか」を大切にした回遊設計。
古湧園様が求めていたのは、売上アップだけを目的にしたポイント制度ではありませんでした。
グループ店舗を楽しく巡ってもらい、その中で“常連さん”の存在や来店頻度が少しずつ見えてくるような仕組み。そして、大きな初期投資や人員増を前提とせず、今の規模でも無理なく続けられることが条件でした。
「スタンプをたくさん集めてもらうこと自体より、“どんな方がどれくらい来てくださっているのか”が少しずつ分かるといいなと思っていました。」(真鍋 様)
これまでに磁気カード式の会員証システムなど、専用機器やレジ連携を前提とする仕組みを運用した事例も把握されており、専用端末やレジ連携が前提の仕組みは、現場には負担が大きいことも分かっていました。
その反省も踏まえ、「軽く始められて、きちんと続けられる仕組み」を探すことになりました。
条件にフィットしたのが「QRスタンプ」付きアプリ

そこで候補を比較する中で浮かび上がったのが、QRスタンプを軸にしたアプリでした。
お客様自身がスマホでQRコードを読み取るだけでスタンプが貯まり、レジや基幹システムとの連携は必須ではありません。
管理画面から自分たちで特典内容などを変更できるため、少人数でも運用しやすい点も魅力でした。
館内にQRスタンドやPOPを置き、ひと言ご案内するだけで、お客様はゲーム感覚でスタンプを集めてくれます。
まずは“巡ってもらう”ことを起点に、データとして常連さんの姿が少しずつ見えてくる——そんなイメージにぴったりの仕組みでした。
「QRコードだけで完結して、会計と切り離して運用できる。これなら少人数でも回せると思いました。
細かいところも相談しながら進められるのは、とても心強かったですね。」(真鍋 様)
「あの方、よく来てくださってますね」が、みんなの共通認識に

アプリ導入の大きな変化は、“常連さんの存在がシステムで見えるようになった”ことでした。
管理画面上では来館履歴やスタンプ数から、「どんなタイプのお客様がよく利用しているのか」が具体的に分かるようになっています。たとえば──
- 日帰り入浴でよく来る地元の方
- 売店を中心に利用される方
- 周辺店舗を巡るファン層
といった具合に、これまで個別のスタッフだけが感覚的に捉えていた情報が、数字とともに共有できるようになったそうです。
「バックヤードで『この方よく来てますね』という話が増えました。
お客様を知るきっかけができたのは大きいです。」(真鍋 様)
また、スタンプ交換時の会話も増え、コミュニケーションが自然に生まれるようになりました。
今後やってみたいこと──スタンプラリーを「小さな旅」づくりに

これまでのスタンプは、主に館内やグループ店舗を巡ってもらう目的で活用してきましたが、古湧園様では今後、道後周辺のもう少し広いエリアも含めて楽しんでもらえるスタンプラリーに挑戦したいと考えています。
真鍋様が思い描いているのは、大掛かりなツアーというより「少し足を伸ばして周辺地域を訪ねるような、小さな旅」です。
「周辺の地域を訪ねるちょっとした旅行に、スタンプラリーのような楽しみを組み合わせられないかと考えています。」(真鍋 様)
いくつかのスポットを回りながらスタンプを集めてもらい、すべて達成すると、ささやかな特典や次の体験につながるようにする。
道順を細かく決めてしまうのではなく、「この辺りも寄ってみようかな」と思えるきっかけとしてスタンプを置いていくイメージです。
「一つ一つポイントをクリアしていく中で、気がついたら楽しい体験になっていた、という形になればうれしいですね。」(真鍋 様)
スタンプをきっかけに、道後とその周辺がゆるやかにつながる小さな旅。その設計図のひとつとして、アプリをどう生かしていくかを模索している段階です。
道後から、その先のまちへ。「面で楽しむ旅」への一歩

取材の中で真鍋様は、道後という観光地だけで完結するのではなく、周辺の地域も含めて「面で楽しめる体験」をつくっていきたいと話していました。
道後は温泉地として広く知られていますが、少し移動するだけで、自然の豊かさや小さな個人店、地域の人たちの活動など、多彩な魅力が広がっています。
一方で、人口減少が進む地域も多く、地元の方や外から来た若い世代が新しい取り組みを始めているものの、こうした魅力がまだ十分に結びつけられていないと感じているといいます。
「訪れる方からすると、『1日をどう過ごせばいいのか』『どのくらいの距離感なのか』がイメージしづらく、そこが足を運ぶハードルになっている気がします。そこを小さなスタンプラリーのような仕掛けで楽しく埋められたらと思っています。」(真鍋 様)
古湧園様としても、自社だけの利益を優先するのではなく、地域全体が活性化し、訪れた方に「またこのエリアに来たい」と思ってもらえる状態こそが理想です。
スタンプをきっかけに複数のスポットがゆるやかにつながり、「気づけば一日分のルートになっていた」「結果的に地域全体を楽しめた」という体験が生まれることは、その第一歩になります。
こうした取り組みは、古湧園 様が大切にしてきた「観光は点ではなく面で届ける」という考え方を、道後の外側にも自然に広げていく試みでもあります。
古湧園 アプリ
【企業情報】
・企業名
株式会社古湧園
・所在地
愛媛県松山市道後湯之町20-23
・事業内容
宿泊業(ホテル運営)
古湧園 遥
土産物販事業(お土産店の運営)
通信販売事業(WEB販売)
食堂の委託運営
旅行業(登録旅行業)
・公式サイト
https://www.kowakuen.com/





