「コロナの少し前から、iPadやスマレジを入れたりして、IT化を一緒に進めてきました。
その流れの中で“常連さんをちゃんと把握したい”という思いからアプリを始めました。」— 株式会社明石屋菓子店 保さま
導入前の課題
・顧客情報を紙で集めようとしても、拒否されることも多く、十分に蓄積できない
・常連客について、顔は分かるが「住所・来店頻度」などの情報が残っていない
・他社のアプリはレジと連携せず、別機器での読み取りが必要で運用が定着しない
よく使う機能
・スマレジ連携によるポイント付与/会員証表示
・毎週のクーポン配信/ニュース配信
・会員数の推移やクーポン利用状況などの会員データ確認
導入後の結果
・会員数が7万人を突破し、月700〜1,000名ペースで増加
・紙中心だった広告費を大幅に削減
・顧客情報の「見える化」により、常連、ライト層それぞれの把握がしやすくなった
鹿児島の「かるかん文化」を支える老舗和菓子店

・お話をお伺いした人
株式会社 明石屋菓子店
営業部課長 本店統括店長兼デジタル推進室室長|保 直継 様
鹿児島県鹿児島市に本店を構える「明石屋菓子店」様。
安政元年創業、170年以上の歴史をもつ老舗和菓子店として、鹿児島ならではの銘菓「かるかん」を中心に商品を展開しています。
直営店を鹿児島市内に構え、鹿児島空港やJRの駅売店、全国の百貨店・物産展などでも商品を販売。地元のお客様はもちろん、観光客や県外ファンからも長年愛され続けています。
「直営のお店は鹿児島市内だけですが、鹿児島空港や鹿児島中央駅、一部の百貨店、九州(鹿児島)物産展などでも『かるかん』『かるかん饅頭』を販売しています。」(保さま)
こうして鹿児島の「かるかん文化」を支える老舗として、多くのお客様に親しまれている明石屋菓子店様ですが、店頭オペレーションや情報管理の面では、次のような課題も抱えていました。
- 顧客情報を紙で書いてもらう方式では、そもそも件数が集まりづらい
- 拒否されることも多く、特に地元の方・ライトユーザーの情報が取り切れない
- 販促は新聞・地元情報紙への掲載や、自社チラシなど紙中心で、コストも大きい
紙ベースのやり方には限界を感じつつも、「伝統ある老舗ならではの信頼感を大切にしながら、常連のお客様ともっと長く・深くつながっていきたい」という思いから、同社ではコロナ禍の少し前より本格的なDXに乗り出しました。
アプリ導入のきっかけは「レジと連携して、常連さんをきちんと把握したい」

明石屋様がアプリメンバーズを導入したのは、2020年から。
その少し前には、別の会社の会員アプリをテスト運用していたといいます。
「2019年の夏頃に他社さんのアプリを1回導入して、社内でテストしていたんですけども、レジと連携できなかったり、別の機械でバーコードを読み取らないといけなかったりで、使い勝手があまり良くなくて……。」(保さま)
当時の課題は、大きく2つありました。
①レジと連携しない会員アプリの運用負荷
・レジとは別にバーコードリーダーを用意する必要がある
・バーコードが読み取りづらいことも多く、現場での運用が煩雑
②地元の常連客の情報がほとんど残っていないこと
・毎日のように来店する方の「顔」は分かるものの、「住所」「来店頻度」などの情報は記録されていない
・紙で住所を書いてもらおうとしても、件数が集まりにくい、拒否されてしまうケースも少なくなかった
こうした課題を解消するために、「レジと連携してポイント付与ができるアプリ」を探す中で出会ったのが、アプリメンバーズでした。
「スマレジとの連携が可能で、レジからそのままポイント付与もできると聞いて、“これなら現場での運用がスムーズになるかもしれない”と思いました。」(保さま)
比較検討で見えた、「レジ連携×コストバランス」の決め手
導入検討の際、明石屋様が重視したポイントは、次の3つです。
①スマレジと連携し、会計とポイント付与を一体的に運用できること
②アプリ登録を通じて、自然な形で顧客情報を集められること
③料金体系が分かりやすく、長期運用しやすいこと
特に大きかったのが、「会計業務の延長線上でポイント付与が完結する」点でした。
「店頭のオペレーションが複雑になると、どうしても現場では続かないので……。レジ画面から読み取るだけでポイント付与までできる、というのは大きかったです。」(保さま)
他社アプリで感じていた“使いづらさ”が解消されるだけでなく、常連のお客様の情報をきちんと把握し、囲い込んでいける仕組みとして、アプリメンバーズの導入を決断しました。
導入時の課題と、社内浸透までのプロセス
アプリ導入時、最初に慎重に確認したのは「店頭オペレーションがどこまで変わるか」。スマレジ連携でレジ対応の流れが崩れないか、一つひとつ現場での動きを確かめていきました。
実際に運用を始めてみると、レジでの作業は想像以上にシンプルで、大きな混乱も無かったとのことです。
一方で、スムーズな現場運用を支えるために「裏側で整えておくべきこと」は少なくなかったといいます。
そこで導入初期は、次のような社内体制づくりに時間をかけました。
- 社内スタッフへの説明と、全店舗で共通の運用ルールづくり
- 管理画面の操作に慣れ、会員数や利用状況を確認する基本動作の習熟
- 会員数の推移やクーポン利用数などを、毎週チェックする習慣の定着
こうした準備を進めるなかで、導入を担当された保さまご自身も、まずは管理画面を徹底的に触るところから理解を深めていきました。
「最初は管理画面をかなり触って勉強しました。会員数の推移やクーポン利用状況の確認などは、今も毎週チェックしています。」(保さま)
現在は、クーポン配信やデータ確認を保さまが、ニュース配信を別スタッフが担当するなど、役割分担をしながらチームで運用が回る体制が整っています。
会員7万人。店頭案内と紙ツールで「登録の文化」をつくる

アプリ導入から数年が経ち、会員数は7万人を突破。
今も月700〜1,000名ペースで増え続けており、その背景には「日々の接客の中で、自然に登録へ導く工夫」を積み重ねてきたことがあります。
初めて来店された方や、まだアプリを入れていない方にもストレスなく登録してもらうために、店頭と紙ツールの両方で次のような導線を用意しました。
- レジ横にQRコード付きの案内紙を置き、会計時の声かけを全スタッフで徹底
- 興味のあるお客様にはその場で登録をサポートし、お急ぎの方には特典を書いた案内紙をお渡し
- 自社催事のリーフレットにもQRコードを掲載し、来店以外の接点からも登録のきっかけをつくる
こうした導線づくりを続けることで、「明石屋でお買い物をするならアプリを入れるのが当たり前」という空気が少しずつ育っていきました。
「レジでは必ず『アプリお持ちですか』とお声がけしています。『今日はいい』という方には紙をお渡しして、家で入れていただくこともあります。」(保さま)
案内紙にはポイント特典や誕生日クーポンなども分かりやすく記載しており、「その場では登録しなかったけれど、家に帰ってから入れてくれる」お客様も多いといいます。
クーポンとニュース配信で、来店頻度の向上&広告費削減を実現

アプリ導入後、明石屋様が特に「効果が見えやすい」と感じているのが、クーポン配信とニュース配信です。
どちらも“続けやすさ”を重視し、運用ルールをあえてシンプルに固定してきました。
とくにクーポン運用では、「無理なく続けられること」を前提に、次のようなやり方に絞り込んでいます。
- 配信タイミングを「日曜夜〜月曜朝」に固定し、週1回のペースで継続
- 週ごとの内容は大きく変えず、基本パターンを決めて負担を軽くする
- 会員数6万5,000人・7万人などの節目には、300円OFFなど反応率3割前後の特別クーポンを配信する
こうして無理なく続けられることが、クーポン配信を日常的な来店促進の仕組みとして根付かせている要因のひとつになっています。
「クーポンは内容の型をある程度決めているので、1回あたりの作成時間は10〜15分ほどで済みます。」(保さま)
一方でニュース配信は、季節商品や催事情報をアプリから広く届ける役割を担っています。
紙媒体だけに頼っていたころと比べ、紙とアプリを組み合わせることで、告知の「届け先」と「コスト」の両方を最適化できるようになりました。
「現在は紙とアプリを組み合わせる形に落ちついて、広告費が大幅に削減でき、コスト面でもメリットを感じています。」(保さま)
導入後に感じた変化― 顧客情報の「見える化」と、コロナ禍での接点維持

アプリ導入によって、もっとも大きく変わったのが「顧客情報の見え方」です。
それまで紙では集まりづらかった情報が、アプリ登録を通じて自然と蓄積されるようになり、お客様の姿が数字として把握できるようになりました。
「以前は、ご来店される地元のお客様の情報は、ほとんど収集できていなかったのですが、アプリでお名前やご住所を入れていただくことで、お客様情報を管理できるようになり、ご来店の頻度なども分析できるようになりました。なによりお客様の顔とお名前が一致するようになったのは、すごく良かった点ですね。」(保さま)
以前は、紙の会員カードや住所記入用紙を用意していても、なかなか件数が集まらず、地元の常連の方でさえ「顔は分かるが、記録としての情報はほとんど残っていない」という状態が続いていました。
その状況がアプリ導入後は変わり、顧客像の“解像度”が大きく上がっています。
- 会員登録時に氏名・住所・来店頻度が分かるようになり、顔と名前が一致しやすくなった
- トラブルや問い合わせがあった際に、該当のお客様を特定しやすくなり、対応の質が上がった
- 「たまに来るお客様」もデータ上で捉えられ、見落としの少ないフォローができるようになった
こうした変化について、保さまは次のように話します。
「アプリでご住所や頻度が分かるようになり、顔と名前が一致するようになったのは、すごく良かった点ですね。」(保さま)
さらに、導入タイミングがちょうどコロナ禍の始まりと重なっていたため、クーポンやニュース配信は「来店が難しい状況でも、お客様とつながり続けるための窓口」としても機能しました。
今後の展望|DX推進と、若年層へのアプローチ強化へ
アプリ運用が軌道に乗ったいま、明石屋様が次のテーマとして捉えているのが「社内DX」と「若年層へのアプローチ」。和菓子文化を次の世代へつなぐためにも、この2つは今後しっかり取り組んでいきたい領域だといいます。
会員データを見ても、現在のメイン顧客層は40代以上で、20〜30代の比率はまだ多くはありません。
一方で、社内には紙ベースの業務もまだ残っており、バックオフィスを含めて“どこまでデジタルに置き換えられるか”が大きなテーマになっています。
今後の方針として、明石屋様では次のようなテーマを掲げています。
- 紙で運用している社内業務のペーパーレス化を進めること
- システムやアプリ、AIの活用によって、バックオフィスを含めた業務効率化を図ること
- 会員データを活かしながら、20〜30代の若年層に向けた取り組みを強化していくこと
「まだ紙を使用する業務も多いので、ペーパーレスやシステム・AI活用を進めていければと思っています。」(保さま)
今後は、和菓子やケーキの受取予約などにもアプリを活用することも視野に入れながら、DXを通じて次の世代との接点づくりを一歩ずつ進めていく考えです。
まとめ
明石屋菓子店様の取り組みは、「老舗 × DX × アプリ」によって、常連のお客様とのつながりをより深く・広く育てていくチャレンジです。
アプリを導入したことで、
- レジ連携により、現場の負担を増やさずにポイント・会員運用を始められたこと
- 会員7万人という大きなファン基盤が生まれ、来店を後押しする打ち手や広告費の見直しにつながったこと
- 顧客情報の「見える化」によって、フォロー対応や企画づくりの土台が整ったこと
といった効果が表れています。
「老舗だからこそ、守るだけじゃなくて、デジタルも取り入れていかないといけないと思っています。アプリやDXを通じて、これからもお客様と一緒に歩んでいければ。」(保さま)
これからも、鹿児島の“かるかん文化”を支える老舗として、DXとアプリを味方に、地域のお客様とともに歩み続けていきます。
明石屋アプリ
【企業情報】
・企業名
株式会社 明石屋菓子店
・所在地
鹿児島県鹿児島市金生町4-16(本店)
・事業内容
和洋菓子の製造・販売、銘菓「かるかん」「かるかん饅頭」
・公式サイト
https://www.akashiya.co.jp/
お客様の声:サイト170文字前後版

紙販促からアプリ配信へ。
広告費を大幅削減し、会員数は7万人に成長
明石屋菓子店 様
創業170年以上の老舗・明石屋菓子店さまでは、紙での会員管理からアプリメンバーズへ切り替え。会員数は7万人、今も月700〜1,000人ペースで増加中。紙中心だった販促をアプリのニュース・クーポン配信にシフトしたことで、広告費は大幅に削減され、顧客情報の「見える化」も進みました。





